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勇者側で召喚されたはずの俺が魔王側にいるんですけど!?  作者: YoneR
第一章

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エミュリア

ちょっと短めです。

〖エミュリア視点〗


エミュリアです。

エルフの女の子です。

自分で言うのもなんだけど、結構かわいいほうだと思っています。


私の自慢はお母さん譲りの緑がかった水色のロングヘアとお父さん譲りの青い目です。

里のみんなからはよく褒められていました。


私が生まれたのはエルフがたくさん住んでいるハーロウ帝国ではなく、魔王国ドラッケンバーグの小さな山里です。


魔王国ではエルフはほとんどいません。

里でも、エルフは私とお母さん、めったに帰ってこないお父さんだけでした。


お母さんとお父さんはハーロウ帝国の出身で、結婚して魔王国に移り住んだそうです。


お母さんは439才、お父さんが566才のときに私が生まれました。


エルフはとても寿命が長く、人間族と比べるとその20倍の2000年も生きるそうです。


私は今12才なので、2000年がどれほど長いのか想像もつきません。



里での暮らしは充実したものでした。


ハーロウ帝国と魔王国は戦争状態でしたが、里のみんなは優しく、同年代の子供たちとはよく裏山で遊んでいました。

ほとんど食料にも困ることはありません。


唯一の欠点としては、大きな町から少し離れていることです。


ただ、離れているといっても、子供の私の足で数十分歩けばつく距離です。


裏山や広場で遊ぶといっても限度があります。


私はいつもお母さんに街に行きたいとせがんでいたのですが、どうしても連れて行ってもらえませんでした。


今ではその理由がよくわかりました。


しかし、まだ8才だった私は言いつけを破って街に勝手に出かけてしまいました。



街はとても大きく、たくさんの見たことのない種族の人たちであふれかえっていました。


私は一緒に来た獣人の友達と初めての街を思いっきり楽しみました。

初めての食べ物やかわいい服、正直有頂天になりかけていました。


そのため、周りの人たちからの冷めた視線に気が付きませんでした。




1日中楽しんで帰ってくると里はいつもより静かでした。


私は黙って街に行ったのでお母さんに多少怒られるとは思っていたのですが、お母さんはほとんど怒らない人だったので大丈夫だと思っていました。


私の家には里の偉い人たちが集まっていました。


入って1番に聞こえてきたのは怒号でした。里長の声です。


私は急いで声が聞こえてきた部屋に入りました。


すると驚いたことに、私のお母さんが怒られていました。


今までにこんなことは1度もありませんでした。


部屋の中のみんなが私に気が付きます。


『エミュリア、どうして・・・。どうして街に行ったの?』

『ごめんなさい。どうしても行ってみたくて。』

『おい、エミュリアには伝えていなかったのか!街に行ってはならないと!』


どうやら私のせいで怒られているようです。


『街に行ってはいけないと言っていたのですが・・・。この子はまだ8才です。里の外の世界が見たくなったのでしょう。』

『ごめんなさい。』

『子供の謝罪で済む話か!もうすぐここに騎士団が来るだろう。せめてもの情けだ。速やかに里を出るように!』


 え?里を出る?どうして?街に行ってみただけなのに・・・?


私は訳が分からないまま里を出ました。




その後、お父さんと合流し、しばらくいろんなところへ逃げ回ったのですが、とうとう騎士団に捕まりました。




捕まる直前、私は真実を知りました。




『エミュリア。お父さんとお母さんはハーロウ帝国のスパイだ。今まで黙っていて悪かったな。』




騎士団につかまってからはお父さんともお母さんとも離れ離れになりました。


しばらくしてお父さんとお母さんは処刑されました。

敵国のスパイだったのですから、当然といえば当然です。


私は奴隷になりました。



たぶんこの頃だったのでしょう。




私の声が出なくなったのは。





私はニヴェ様の奴隷として買い取られました。


ニヴェ様は一流の奴隷商人です。

すぐに私の声の異常に気が付きました。


ニヴェ様はその原因を私の精神的な問題だと考え、しばらくの私を売り飛ばしませんでした。


しかし、いつになっても私の声は戻りません。



とうとう諦め、私はキリトという街のオークションで売られることになりました。






いったいどれだけ神様は私をいじめるのでしょう。


キリトに向かう途中で魔物に襲われました。


大きな群れです。しかも、護衛は1人もいません。


ニヴェ様は逃げ切ろうとしましたが、途中で荷台が横転し、戦うしかありません。


ですが私はエルフの奴隷。

他の獣人の奴隷たちとは違って戦闘なんてできません。



魔物のうちの1匹が私に飛び掛かってきました。


 ああ、ダメだ。ここで私は死んでしまうんだ。


そう思いました。


私は死を覚悟しました。








 ん?あれ?




なんともありません。


死ぬときは痛くないと聞いたことがあります。


私はそっと目を開けました。





ヒーロー。





私はそうとしか考えられませんでした。


私の目には、黒いローブの人が私と魔物の間に現れ、魔物を黒い爪で貫いている光景が飛び込んできました。


『ちょっと!どういうこと!?なんでこんな魔物の目の前に移動したのよ!』

『悪い。失敗した。日が照っていたからだな。二分の一を外した。』

『死にそうだったんだけど!』

『大丈夫だっただろ?』

『それはそうだけどさ!』

『本当に悪かったって。』


その人の隣にはかわいい狐の女の人がいて、何か言い争っています。

ですが、かなり仲が良さそうでした。


その人は女の人の頭をなで、私のほうを向きました。



ドキッ。


心臓が高鳴るのが分かりました。



黒髪、黒目の人間の男の人でした。

年齢は20才前後でしょうか。イケメンです。


『大丈夫か?』


そう奴隷の私に優しく話しかけ、


『とりあえず、俺のそばを離れるなよ。』


と頭をなでてくれました。



私は涙が出そうになりました。

頭をなでられたのはいつぶりでしょうか。

そして何より、話し方が少しお父さんと似ていました。


そのあと、その2人は魔物をあっという間に倒してしまいました。



私は完全に恋に落ちました。


その戦っている姿のなんとかっこよかったことか。

さりげなく私に攻撃が行かないようかばってくれていました。



 この人の奴隷になりたい!


私はそう強く思いました。



その後、私たちと一緒にキリトに行くことになりました。


私は何としても買ってもらうため、


⦅あ・り・が・と⦆


と口を動かしてアピールしました。


自分の容姿が優れていることは分かってたので期待していました。。



ただ、琉斗様にはネーア様という恋人がいらっしゃるのでしょう。


そのまま別れてしまいました。


私はかなり落ち込みました。

なんせ初恋でしたから。




私は予定通りオークションに出されました。


私の買い取り希望先は何かのお店の雑用。

私は力があまりないので、食堂や食材屋、宿屋を希望しました。



そして今に至ります。




次回更新は10/26(日)予定です。

明日です。

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