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領地のすべてをゴーレムで自動化した俺、サボっていると言われて追放されたので魔境をチート技術で開拓します!  作者: キミマロ


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閑話 古き王の策謀

「……まさか、先祖返りした竜人が倒されるとはな」


 大樹海の遥か奥地。

 一年中霧の立ち込める死者たちの都。

 その中心に聳える城を一人の男が訪れていた。

 魔人王オーカス・フォルツェンである。

 

「渡した血、ほんとにちゃんと飲ませたの?」

「間違いない、私も確認している」

「それで倒されるなんて、一体どうやったのかしら?」


 形のいい顎に手を当て、うーんと考え込み始める少女。

 彼女の名はファスティナ・ヴラドノーツ。

 始祖の吸血鬼の末裔にして、屍人王である。


「記録は残ってるの?」

「途中まではね。しかし、監視役の魔人が憑依を行ったために途切れている」

「そこまでやったのに負けたわけ?」


 怪訝な表情をするファスティナ。

 強制的に意識を乗っ取り、無理やりに潜在能力を引き出す憑依。

 それを先祖返りした竜人に使えば、その力は絶大なものだろう。

 それでもなお敗北するとは、にわかには信じられなかった。


「間違いない」

「そこまでとなると、迂闊に手は出せないわね」

「そうは言いつつも、余裕そうじゃあないか」


 ワインを片手に語るファスティナの表情には、さほど焦りは感じられなかった。

 相手が何者であろうと勝つという絶対的な自信の為せる業だ。


「当り前よ。私を誰だと思ってるの?」

「流石は旧い吸血鬼の末裔だ」

「そっちこそ、余裕あるくせに」

「当然だろう。本当に余裕がないのは小鬼王ぐらいだろうな」

「あー、あいつもちょっかい出してたわよね」


 小鬼王の顔を思い出し、不機嫌そうに眉を顰めるファスティナ。

 ゴブリンという種族が彼女は何よりも嫌いであった。

 もっとも、ゴブリンの側も彼女たち吸血鬼や屍人族を嫌っている。

 見た目は美しくとも、子を産ませることができないからだ。


「件の街は小鬼どもの縄張りから近い。動かない森人王よりも、先にこちらを本格的に叩きに来るかもしれん」

「とうとうあの族長自身が動くってこと?」

「ああ。王が動かなければ勝てない戦だからな」

「なかなか面白くなってきたわね。いよいよ王の一角が崩れるかしら」

「……まあ、それもすぐにではないだろう。相手に力があるとわかった以上、小鬼王もいきなり攻め込むような真似はしない」


 小鬼王は力に訴える傾向が強いゴブリンにもかかわらず、搦手を好む。

 森人王への侵攻についても、クロウラーを利用したのが良い例だ。

 ゆえに、相手に力があるとわかった以上はすぐに仕掛けない。

 好機を何年でも待つだろうというのが、魔人王の読みであった。

 

「事態はまた膠着状態にってわけね」

「いや、意外と崩れるのは早いかもしれない」

「どういうこと?」

「人間は必ず揉める。ラバーニャが侵攻してきた時もそうだった。森をある程度制圧したところで内輪揉めを起こして、奴らは我々に敗北した」

「そんなことあったわね」


 そう言えばそうだったと手を叩くファスティナ。

 今から約五百年前。

 サリエル大樹海へと進行したラバーニャ帝国は当初、烈火のごとく侵攻して当時の王の一角であった鉱人王を滅ぼした。

 しかし戦線が拡大するにつれて、帝国内部で樹海の資源の権益を巡る争いが発生。

 派閥ごとに分裂したところで、他の王たちから侵攻を受けて一気に森から駆逐されたのである。

 

「けど、ラバーニャの時と比べると連中の支配域は狭いわ。内紛が始まるなんていつのことやら」

「かなり早いだろう」

「やけに自信あるわね」

「街に潜入させた魔人から報告があったのだがな。連中はどうも、魔石を基準とした新しい通貨を流通させようとしているらしい」


 それを聞いてもなお、ファスティナはピンと来ない様子で首を傾げた。

 するとオーカスは呆れたような顔をして言う。


「通貨は国の経済で最も重要なものだ。それを新たに発行するということは、独立を考えていると言っても過言ではないだろう」

「つまり、新しくできた人間の街は本国からの独立を企てているってわけね」

「その通り。そして、本国がそれを許すわけはない。まず間違いなく争いになる」

「仮に本国との戦いを乗り切ったところで、今度は小鬼王が襲い掛かる。その街、だいぶ終わってるんじゃない?」


 からからと笑うファスティナ。

 彼女にとって、目障りな新興勢力が消えるのはとても喜ばしいことであった。

 だが一方で、オーカスはやや残念そうな顔をする。


「上手く扱える駒ならば、我々の計画に利用できるかもしれないと思ったのだがな。先祖返りした竜人を倒すほどの力だ、使い方によっては化ける」

「そうは言っても、王権を持ってない連中だからね。資格がないわ」

「資格がないからこそ、最終的には使い捨てに出来るだろう」

「おぉこわ、使い捨てだなんて。流石は魔人さんね。血も涙もない」

「それはお互い様だろう。最終的には、我々同士で争うことになるのだしな」


 そういうと、オーカスは一転して険しい表情でファスティナを睨んだ。

 するとファスティナは、余裕たっぷりに笑いながら言う。


「何を今さら。あなた、ずーっと仲良しごっこする気だったわけ?」

「そうではないのだがな」

「じゃあ、今を楽しみましょ。その時が来るのなんて、たぶんあと二百年ぐらいは先だわ」


 そういうと、ご機嫌な顔でワインを飲むファスティナ。

 その朗らかながら、どこか狂気を感じさせる笑い声が城に響くのだった。


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― 新着の感想 ―
ドワーフがいないと思ってたがもうすでにやられてたのか、そしてラバーニャ帝国は六王を圧倒するだけの戦力があったのか。やっぱり人間がこの世界最強なのでは?
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