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領地のすべてをゴーレムで自動化した俺、サボっていると言われて追放されたので魔境をチート技術で開拓します!  作者: キミマロ


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第68話 ダンジョン対策会議

「ダンジョンの構造が変化した。すぐに調査をしないといけない」


 その日の夜。

 俺は街の主要メンバーを館の会議室に集めていた。

 議題はもちろん、ダンジョンの変化についてである。

 これから人を集めて発展していこうという時に、その要であるダンジョンが変化したのは非常に大きな出来事であった。


「なら、マキナさんかツヴァイさんに行ってもらったらどうですか?」


 村人代表として来ていたムムルさんが、すぐにそう告げた。

 しかし、それを聞いたマキナとツヴァイは首を横に振る。


「ダメなのであります。私たち二人は構造上、ダンジョンの中に入ると著しく弱くなってしまうのでありますよ」

「そうなると、次に強いのは……チリさんですか?」


 皆の視線が、自然とチリに向けられた。

 すると彼女もまた、はぁっとため息をついて言う。


「私の戦闘術は対人特化。モンスターとの戦いにはあまり向いていない」

「言っておくけど、私も戦闘は得意じゃないわよ。レベルは高いけど」


 チリに続いて、エリスさんまでもが無理無理と首を横に振った。

 マキナとツヴァイを除くと、この場で最もレベルが高いのがこの二人である。

 となると、残るはサルマトさんかな?

 現役を退いてはいるが、アリシアさんよりレベルは高いんだよな。

 

「サルマトさんはどうですか?」

「うーん……。十年前ならともかく、今だと本格的なダンジョン攻略は体力的に自信がありませんな」

「体力?」

「ええ。ダンジョン攻略は長丁場ですから」


 歴戦の猛者と言えども、年齢による体力の衰えはいかんともしがたいか……。

 となると、いよいよ方法は限られてくるな。

 俺の考えを察したように、ツヴァイが言う。


「ダンジョン探索用に、新たにゴーレムを開発するのであります!」

「それしかないかなぁ……」

「ちょっとお待ちを」


 ここで、アリシアさんが手を挙げた。

 彼女はそのまま席から立ち上がって言う。


「ダンジョンの攻略には、必ず人間が必要です。ゴーレムだけでは、階層主を倒した後に扉が出現しません」

「なら、誰かついていく必要があるね」

「ついていくだけではダメです。ある程度は戦闘に参加していないといけないようなのです」


 そう言うと、以前にあった出来事の説明を始めるアリシアさん。

 何でも、前の階層主であったファイアリザードというモンスターは高レベルだが攻略手順さえ知っていれば比較的簡単に倒せるモンスターだったらしい。

 そこで、ランスロット型だけで攻略をさせてみたところ最深部への扉が現れなかったのだとか。

 どうやらダンジョンには、生物を認識して通す機能か何かがあるらしい。

 

「では、強力なゴーレム部隊を作って攻略させるというわけにもいきませんね」

「ああ。ゴーレムはあくまで補助って形になりそうだ」

「ですが、それだといささか不安があるのであります」


 アリシアさんの顔を見て、何とも言い難い表情をするツヴァイ。

 するとたちまち、アリシアさんが口を尖らせる。


「私だって、一流の冒険者なのだぞ」

「でも、レベル五十なのですありますよね?」

「……五十五だ! 最近、ちょっと上がったからな!」


 大きく胸を張り、フンッと鼻を鳴らすアリシアさん。

 ゴーレムに差を付けられていることを内心では悔しく思っていたのだろうか?

 どことなくその態度には棘があった。

 しかし、マキナとツヴァイがレベル一千を超えていることを考えると……。

 人間として頑張ってほしいところではあるけど、流石に厳しいよなぁ。


「こうなったら、全身鎧でも着て立っていてもらうでありますか?」

「うーん、それだと条件を満たさないんじゃない?」

「結界魔法を使うとかはどうだし? ギリありじゃない?」

「そういうことなら……」


 ああでもない、こうでもないと議論を巡らせる技術陣。

 さて、一体どうしたものかな……。

 俺もあれこれと考えを巡らせながら、ぼんやりと視線を走らせる。

 すると、不意に部屋の端に立っているランスロットⅡ型へと目が留まった。


「……着ればいいんじゃないか?」

「着る?」

「そう、ゴーレムを着るんだよ!」


 俺の言葉に、皆が驚いたような顔をした。

 普段は冷静なマキナですら、おやっと目を見開いている。

 まあ無理もない、普通はそんなこと考えないからな。

 

「ゴーレムを着る……どういうことでしょうか?」

「気になるのであります!」

「そのままだよ。そこにランスロット型がいるだろ? あれを見て思いついたんだよ、ゴーレムを着られないかって」

「……それ面白いんじゃない? 人間の動きをゴーレムが補助するような形にすれば、アリシアたちでも戦えるかもしれないわ」


 それいいとばかりに、ポンッと手をつくエリスさん。

 彼女の言葉でイメージが沸いたのか、マキナとツヴァイもふむふむと頷く。


「なかなか面白そうなのであります! さっそく製作するのです!」

「エリス様とミーシャ様にも、協力をお願いできますか?」

「もちろん! 私たちとしても願ったりかなったりだわ」

「あ、ちょっと待ってください!」


 盛り上がる皆に、俺はあえてストップをかけた。

 そして、ゆっくりながらもはっきりとした口調で告げる。


「そのゴーレムの開発は、久しぶりに俺自身にやらせて貰えないかな。人が動かすゴーレムだから、やっぱり人間が作るべきだと思う」

「わかりました。お願いいたします」

「アリシアさんたちも手伝ってもらえるかな? 実際に動かすのはアリシアさんたちだろうし、いろいろと試したいこととかあるから」

「もちろん構いません! ぜひ!」


 興奮した口調で告げるアリシアさん。

 こうして、着るゴーレムの開発が始まるのだった――。

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