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領地のすべてをゴーレムで自動化した俺、サボっていると言われて追放されたので魔境をチート技術で開拓します!  作者: キミマロ


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第26話 コボルト村の発展

 ダンジョンの発見から五日。

 ダンジョン探索の拠点とするべく、コボルト村は急速に開発が進められていた。

 以前に開通した道を通じて次々と作業用のゴーレムや物資が送り込まれ、鄙びた村は驚くほどの速度で変貌しつつあった。

 道は石畳で覆われ、家々は次々と新しい物へ作り替えられていく。

 さらにダンジョンやお山から採取した素材をその場で加工するための工場なども建設が進められていた。


「あっという間に村が……!!」


 みるみるうちに変貌を遂げていく村を見て、驚きを隠せないムムルさん。

 そう言えばムムルさんって、まだ拠点には一回も来たことがなかったんだっけ。

 村長だからって絶対に村を離れようとしないんだよな。

 おかげで、ゴーレムたちの建設風景を見るのはこれが初めてだった。


「拠点の方はいつもこんな感じだよ」

「凄まじい……! 人間の街はこのようにして作られるのですか」

「これはかなり特殊なケースかと思われます」


 マキナがどこか呆れたような顔でそう言った。

 別にゴーレムによる建築ぐらい、都会の方ならやってるんじゃないか?

 俺は最近、王都にはあまり行っていないが……。

 国の中心部なら普通にタロス型ぐらいのゴーレムは普及していそうだ。

 マキナほどのゴーレムは流石にないとは思うけど。


「しかし、これだと私たちの仕事がなくなってしまいますね」

「それについて、昨日マキナともちょっと相談したんだけどさ。ムムルさんたちにはいろいろ商売をしてもらおうかなって」

「商売……?」

「うん。最低限のことはゴーレムたちで出来るから、それ以外の例えばお店を経営したりとかさ」

「経営……?」


 俺の言葉を聞いて、ムムルさんはぽかんとした顔をした。

 あれ、そんなに分かりにくかったかな?

 俺がおやっと首を傾げると、マキナがすかさず尋ねる。


「ひょっとして、コボルト族には商売以前に貨幣の概念がないのでは?」

「あー、そう言えば物々交換してるっぽいこと言ってたな。ムムルさん、お金って知ってる?」

「確か、人間が食べる金属でしたか?」

「食べないよ! これはちょっと、まずお金というものから理解してもらった方がいいかも」


 俺は指で地面に簡単な絵を描いた。

 そしてそれを使って、ムムルさんにお金のことを説明する。


「お金って言うのは、交換に使うために産みだされた道具なんだ。例えばムムルさんが狩りに行ってお肉を手に入れたとするでしょ。で、それを何かと交換したいとする。でもお肉って、すぐに腐っちゃうから急いで交換しないといけないよね?」

「ええ、肉は足が早いですからね」

「そこで、お金を使うんだ。お金は腐らないから、お肉をお金に換えることでずーっと持っておけるんだよ。そして、お金は何にでも換えられる」


 俺がそう言うと、ムムルさんはたちまち目を輝かせた。

 村長を務めているだけあって、なかなか頭の回転は速いらしい。


「それは便利ですな! でも、お金がなんにでも交換できるということをどうやって保証するのです?」

「そこは領主であるヴィクトル様が保証します。お金自体も、価値のある金属で作成する予定です」

「おおぉ……!! なるほど!」

「それで、このお金を集めるためにいろいろ頑張るのが商売というわけです」


 これでおおよそ、説明できただろうか?

 ムムルさんは腕組みをしながら、何やら考え込み始める。

 するとここで、マキナが言った。


「もともと、エルフたちとの交易は魔石と鉱物で行っていたのでしょう? ああいったやり取りも基本的には商売かと」

「ああ、そういうことですか!」

「いずれはこの村にも冒険者の人とかを呼ぶ予定だし、最初の商売は料理でお金を取るお店とかがいいかもね。後は人を泊めてお金を取る宿屋とか」


 冒険者が集まる村なら、そのあたりは基本だろう。

 加えて、ゴーレムで代替しにくい部分でもある。

 本来、お料理を作ったりとか宿屋の細かい仕事をさせたりとかは向いてないから。

 マキナはそれらをすべて性能で押し切っているわけだけど。


「なるほどなるほど、考えておきます!」

「店舗など必要なものがあれば、初めは私たちの方で用意します。いずれはそれらの提供もお金と引き換えに行うようにしたいですが、まだ皆さんお金がないので」

「ありがとうございます!」


 深々とお辞儀をするムムルさん。

 とりあえず、ここから試験的に貨幣経済を取り入れて上手く行ったら領地全体に拡大していこう。

 今のところ、うちの領地のコボルトたちは俺のゴーレムたちが養うような形になっちゃってるからね。

 彼らにもうまく自立していってもらわなければならないのだ。

 そのためには経済活動はやはり欠かせないだろう。


「ある程度余裕が出来たら教育機関も作りましょう。むしろ、コボルトたちが文化水準の割に商業という概念を持ち合わせていなくて驚きました」

「基本的に人のいい子たちだからね。きっと、何でも助け合いと物々交換で成り立たせてきたんだろう」

「しかしこうなると、エルフとの交渉が心配です。一人ぐらい、ある程度交渉ごとの得意な人材がいると良いのですが」


 ……確かに、今の俺たちにはそういう人材は全くいないからなぁ。

 アリシアさんたちは荒事は得意でも口での交渉は苦手だろうし、マキナもそう言った事柄についてはまだまだ学習中だ。

 俺も家を追放されてしまったことからして、話し合いは苦手意識あるからなぁ。

 コボルトがまったく当てにならないとわかった今、そっち方面に優れた商人さんとか仲間になってくれると本当に助かる。


「いずれ、王国から商人を引き入れますか」

「でも、この領地に来てくれる物好きなんているかなぁ」


 俺がそう言ったところで、山の方から声がしてきた。

 振り返れば、ランスロット型を伴ったアリシアさんたちの姿が見える。


「物好きの皆さんが帰ってきましたね」

「いやまあ、確かに今言ったけど……」

「んん? 何の話をしていたのですか?」

「何でもないよ!」


 俺が慌てて取り繕うと、アリシアさんはおやっと首を傾げた。

 しかし、すぐさま笑顔で革袋を差し出してくる。


「これを見てください。ダンジョン探索の成果です!」

「んん? ……うわっ!?」


 革袋の中にぎっしり収められていた大小さまざまな魔石。

 それを目にした俺は、たちまち顔をほころばせるのだった。


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