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領地のすべてをゴーレムで自動化した俺、サボっていると言われて追放されたので魔境をチート技術で開拓します!  作者: キミマロ


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第127話 六つの玉座

「……すっかり服が汚れてしまいました」


 埋もれた下半身を自力で引っ張り上げ、地面から出てくるマキナ。

 彼女はスカートの裾を叩いて土を落とすと、うんざりしたように肩をすくめた。

 ――ひとまず、助かったな。

 俺たちはほっと胸をなでおろすと、船から外に降りる。


「ヴィクトル様、ヴィクトル様!!」


 ここで、ゴーレムたちの合間からツヴァイが飛び出してきた。

 彼女は俺の前で急停止すると、ビシッと綺麗な敬礼をする。

 しかし、その服はボロボロで相当に苦戦したことは明らかだった。


「どうにか無事についたよ。そっちはどうだった?」

「小鬼王の特性に少し苦戦したでありますが、勝てたでありますよ」

「王国軍の方は?」

「あ、そっちはとっくの昔に終わってるであります」


 完全に「ついでに」といった様子で答えるツヴァイ。

 ……俺としては、ゴブリンよりもそちらの方を懸念していたのだけどな。

 仮にも祖国の軍がゴブリンより圧倒的に弱いという事実に、ちょっと悲しくなる。


「ということは、今は追撃戦に入ったところ?」


 見たところ、ゴーレム以外の勢力はほぼ一掃されているようだった。

 遠くにはヘパイストス型の巨体も見える。

 あの生産力は凶悪だからなぁ……。

 あれでどんどん数を増やして、瞬く間に戦場から敵を駆逐したのだろう。

 我が陣営ながら、とんでもないものを生み出してしまったものだ。


「おおよそそれであってるであります。ただひとつ、問題が起きておりまして」

「問題?」

「小鬼王にとどめを刺そうとしたところ、なぜか豚人王に止められたのであります」


 ……うーん、理由が良くわからないな。

 しかしながら、豚人王にとって小鬼王はまさに不倶戴天の敵。

 よほどの理由がなければ、殺すことを止めようとはしないだろう。

 間違いなく、何かしっかりとした理由がある。


「とりあえず、話を聞いてみるしかないな」

「すぐに豚人王を呼んで……あ、来たでありますな」


 話をしているうちに、豚人王が向こうから走ってきた。

 日頃の不摂生が祟っているのか、その息はひどく乱れている。

 しかし、それだけにただ事ではない切迫感が伝わってきた。


「……はぁ、はぁ」

「ご苦労様。さっそくだけど、小鬼王に関する話を聞かせてほしい」

「ご苦労様……?」


 豚人王の顔つきが、にわかに険しくなった。

 しまった、言葉の使い方が間違っていたか……。

 俺は一瞬焦った表情を浮かべるが、すぐさまマキナがぴしゃりと言う。


「ヴィクトル様の方があなたよりも明確に格上です。問題ありません」

「……認めざるを得ないか」

「そのような些末なことよりも、小鬼王の処刑に関することを早急に願います」

「……わかった。して、ヴィクトル……様たちは六王という存在についてどの程度知っているのだ?」


 渋々ながらも、豚人王は俺の名前に敬称を付けた。

 六王についてか……。

 正直なところ、ほぼ何も知らないんだよな。


「森を支配している六人の王としか」

「やはりその程度か。王というのは、あらかじめ定められた地位なのだ」

「定められた? 誰によってですか?」

「わからない。我々は森の意志と呼んでいる」

「森の意志……」


 また厄介そうな概念が出てきたな。

 俺たちは渋い顔をするものの、豚人王は淡々と話を続ける。


「森の意志によって王と選ばれる条件はたったひとつ。王を殺すことだ」

「それで、吾輩が王を殺すことを止めたのでありますか」

「そうだ。もしお前がとどめを刺せば、お前が王となっただろう」


 ツヴァイが王か……。

 それは確かに、統治していくうえでかなり厄介だな。

 というか、ゴーレムが殺した場合ってゴーレムが王になるのか?

 厳密には生物じゃないけど、いけるのだろうか。

 いや、うちのゴーレムの場合は自力で増えていくことができるので生物の定義を満たしているのか……?


「ヴィクトル様?」

「……あ、いかんいかん! つい変なことを考えてた」

「それで、王に選ばれると何かあるのですか?」


 俺に代わって、マキナが問い掛けた。

 すると豚人王は、もちろんとばかりに胸を張って答える。


「王となれば、まず圧倒的な力が得られる。我も先代から王位を譲られて、絶大な力を得た」

「……なるほど」


 マキナとツヴァイの表情は冷たかった。

 彼女たちからしてみれば、豚人王程度では説得力がないのだろう。

 でも、これで豚人王の纏っていた違和感の理由が分かった。

 所詮は借り物の力なので、精神がまったく追い付いていないのだ。


「さらに、王には権能が与えられる。先ほど小鬼王が扱っていたようなものだ」

「あの、周囲のゴブリンの力を奪って無限復活するあれでありますか」

「……なんだそれ、恐ろしいな。けど、そんな能力使いたくないぞ」


 周りを犠牲にして俺だけ回復するって、王様らしいと言えばらしいけど絶対にやりたくないなぁ……。

 そもそも、俺が回復したところで大したことなんてできないし。

 自分で言うのもだが、王になっても豚人王より弱い自信がある。


「権能はそれぞれ与えられるものが異なる。この我も、小鬼王とは違う権能を持っている。森人王やほかの王も同様だ」

「そういうことなら、王にならない手はないな」


 力が増して、さらに権能がもらえるのだ。

 王になれば何かと役に立つだろう。

 すると豚人王は、青ざめた顔をして言う。


「安易に言うでない! この大樹海、六王の間にはある伝承があってな。六人の王をすべて倒した者は、神へと至り森を支配するとされているのだ」

「神ですか」

「そうだ。つまりだ、六王の一角となると言うことは他の王から本気で命を狙われるということなのだ」


 そう告げた豚人王の表情は、かつてないほどに深刻なものだった――。

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