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領地のすべてをゴーレムで自動化した俺、サボっていると言われて追放されたので魔境をチート技術で開拓します!  作者: キミマロ


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第96話 炎上と混乱

「これは……チリたちが動き出したのかな?」


 どこからともなく立ち込めてきた煙。

 それは次第に勢いを増していき、たちまちオークション会場を満たした。

 鼻をつく焦げた臭い。

 たちまち、参加者たちは声を上げて騒ぎだす。


「逃げろ!! 早く!」

「おいどけ、道を塞ぐな!」

「きゃあああっ!」


 始まる混乱。

 狼狽した参加者たちが、勢いよく通路に殺到した。

 先ほどまで上品ぶっていた者たちが、外面を捨ててみな鬼気迫る様相だ。

 慌てた関係者が彼らをどうにか抑えようとするが、事態はなかなか収まらない。

 

「皆さま、どうか落ち着いてください! 落ち着いて!」


 声を張り上げて、どうにか皆を落ち着かせようとする司会者。

 しかし混乱は拡大するばかり。

 次第に濃さを増していく煙と鼻をつく臭いに、みな焦燥感を煽られているようだ。

 するとここで、マキナが二階席の縁から身を乗り出して言う。


「ではそろそろ、私もチリたちに加わって参ります」

「ああ、気を付けて」

「ヴィクトル様の方こそ、お気を付けください。混乱に巻き込まれてお怪我などなさいませんよう」

「分かってるって」


 俺がうなずいたところで、マキナはそのまま二階席から音もなく飛び降りた。

 流石はマキナ、大森林を離れてレベルが下がっていてもその実力は健在だ。

 彼女はそのまま通路を駆け抜けて、オークションハウスの地下へと向かっていく。


「あとは、ここから脱出するだけだな」


 ひとまず、俺の仕事はひと段落着いた。

 というより、この場に侵入できた段階でほぼ終わってるんだけども。

 あとは案内に従って、他の客と一緒にこの場から脱出すればいい。

 そう思った時だった。


「なんだ……?」


 不意に寒気がした。

 なんだろう、この嫌な予感は……。

 俺がぶるりと身を震わせたところで、舞台上に次々と粗末な身なりの男たちが躍り出てくる。


「おっしゃあっ!! 皆殺しだぁ!!」

「目にものを見せてやるぜええ!!」


 殺気を迸らせ、暴れはじめる男たち。

 おいおい、こりゃいったい何だ!?

 奴隷を解放して味方にするとは聞いていたが、こりゃちょっと元気すぎだろ!

 会場の警備をしていた黒服たちがすぐさま応戦し、そのまま乱戦が始まる。


「……ちょっと厄介なことになってきたな」


 奴隷たちの数と勢いに、黒服たちが押され始めた。

 やがて客席へとたどり着いた奴隷たちは、その場にいた参加者たちを襲い始める。

 ヤバい、これじゃ俺も危ないじゃないか!

 灰被り猫が守るから安全ってチリは言ってたけど、全然違うぞ!

 

「マキナ、戻って来てくれ!! マキナ!」


 懸命に声を張り上げるが、流石のマキナも地下からは聞こえないようだった。

 そうしている間にも勢いを増した奴隷たちは二階席へと迫ってくる。

 ヤバイヤバイヤバイ、どうするんだこれ!?

 俺は護身用に持っていたナイフを握り締め、身体を震わせる。

 するとここで――。


「家畜が騒ぐんじゃねえよ」

「余計な声を出すな」


 突進してくる奴隷たちの前に、数名の人影が立ちはだかった。

 彼らは荒れ狂う人波をたった数名で押し留めるどころか、跳ね返してしまう。

 

「クソ、精鋭が出てきやがった!」

「”猫の尻尾”のお出ましかよ」

「おらおら、さっさと牢に戻りやがれ!」


 人影の中に混じっていた、周囲よりも頭一つ背の高い大男。

 彼は背負っていた大剣を振るい、勢いよく薙ぎ払った。

 ――ビョウッ!!

 轟音とともに斬撃が飛び、たちまち数名の奴隷が吹き飛ばされる。


「やべえ! 一旦向こうへ行くぞ!」

「逃すかよ!」

「のわっ!」


 ここで今度は、ひと際小柄な男が宙を飛んだ。

 人混みの向こう側へと着地した彼は、逃げ出そうとした奴隷たちを次々とナイフで切り付けていく。

 舞い狂う血飛沫、響き渡る絶叫。

 たちまち周囲は阿鼻叫喚の地獄となり、圧倒的な勢いを誇っていた奴隷たちは総崩れとなっていく。


「な、なんだありゃ……!」

 

 たった数名で数百人はいる奴隷を蹴散らす男たち。

 そのあまりの強さに、俺は驚いて息を呑んだ。

 するとここで、舞台の隅で小さくなっていた司会者が再び中央に戻ってきて言う。


「皆さま、もう安心です! 我らが精鋭”猫の尻尾”がやって参りました! これで狼藉者どもは、一人残さず倒されることでしょう!」

「当然だ。我らが動いたからには敗北はない」


 ここで、男たちの代表らしき人物が司会者から魔道具を奪って宣言した。

 細身で背が高く、顔立ちも整った男だ。

 その低く艶のある声からは、たっぷりとした余裕が滲み出ている。

 ――これは勝負あったな。

 男たちの実力を知らない俺ですら、そう確信した。

 やがて彼らは、一時はオークションハウスを占拠する勢いだった奴隷たちを再び地下へと押し返す。


「よし、任務完了だ。皆さま、ご安心ください。敵はすべて我らの手によって排除されました」


 仰々しい仕草で礼をしながら宣言する男。

 たちまち、追い詰められていた参加者たちは彼らに拍手を送った。

 そこかしこで安堵の吐息が響き、会場の雰囲気が一変する。


「流石は灰被りの猫ですなぁ!」

「これでもう、騒ぎは収まったも同然でしょう」

「そうだ、オークションだ! オークションを再開しろ!」


 すっかり調子を取り戻し、オークションの再開まで要求する参加者たち。

 その様子に肩をすくめながらも、猫の尻尾の面々は今度は奴隷たちが昇ってきた地下へと通じる階段を見て言う。


「まだ奴隷を解放した賊を捕まえておりません。皆さま、しばしお待ちを」


 こうして、猫の尻尾の面々は地下へ向かって下りて行った。

 ヤバいな、みんな大丈夫だろうか?

 奴隷を解放したのはまず間違いなくチリたちだろう。

 いくらマキナがいるとはいえ、レベルも低下していることだし……。

 俺がそんな心配をした瞬間だった。


「邪魔です」

「うぼぁっ!?」


 耳慣れた声と同時に、先ほど話をしていた猫の尻尾のリーダーが舞台上まで吹き飛ばされてくるのだった。

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