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領地のすべてをゴーレムで自動化した俺、サボっていると言われて追放されたので魔境をチート技術で開拓します!  作者: キミマロ


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第93話 オークション

「……連中が貴族についてあまり知らないのはほんとみたいだな」


 地下都市の中にある大通り。

 その雑踏へ足を踏み入れたところで、俺はそう呟いた。

 ヴァタント子爵家なんて家は、このエンバンス王国には存在しない。

 にもかかわらず、入口で俺たちを通した男たちはまったく気付く気配はなかった。

 貴族名鑑の劣化版に完全に頼り切っているようだ。


「しかし、ひでえとこだな」

「まさに社会の縮図って感じだし」


 通りの両側には、奴隷を閉じ込めた檻が並べられていた。

 その様はもはや人間というより動物を扱っているようで、強い嫌悪感がある。

 オークションに出されていない彼らは、恐らく商品価値の低い奴隷なのだろう。

 身体も服も薄汚れていて、扱われ方は粗雑そのもの。

 まさにこの世の地獄といった有様だ。

 一方で、大通りを歩く人間たちの服装は華やかだ。

 従者を引き連れた貴族らしき者も多い。

 格差などというものでは、言い表せないほどの差だ。


「あれは、ルーゼルト伯爵か?」


 通りを行く人々の中に、俺は見覚えのある姿を発見した。

 顔の上半分を仮面で隠しているが、大柄な体型と特徴的な顎は誤魔化せない。

 王立学園の晩餐会へ保護者として出席していたのを何度か見た覚えがある。


「誰なのですか?」

「宰相派の大貴族さ。清廉潔白な政治家として有名だけど……」

「貴族の評判なんて、当てにならないものですね」

「ああ」


 まったく、同じ貴族として実に嘆かわしい。

 俺がやれやれとため息をつくと、ここでチリが言う。


「上手く忍び込めたし、私たちはそろそろ別行動。みんなついて来て」

「では失礼します、ヴィクトル様」

「ああ、気を付けてね」

「私はもうしばらく護衛を継続しますので、ご安心を」


 ここで、チリがアリシアさんたちを連れてその場を離れた。

 あとに残された俺とマキナは、そのまままっすぐ正面にある建物へと向かう。

 地下都市の中でも一番大きなこの建物は、オークションハウスになっていた。


「オークションに参加される方はお急ぎください! まもなく開場です!」

「俺たちも参加します!」

「貴族の方ですね? ご案内いたします」


 建物の正面にたどり着くとすぐに黒服によって案内された。

 階段を上がっていくと、やがて開けたホールのような場所へとたどり着く。

 その中心には、スポットライトに照らされた大きな舞台があった。

 前に一度だけ訪れた王都の劇場にちょっと似てるな。

 富裕層の来訪を想定しているのか、内装も奴隷市場とは思えないほど豪華だ。

 

「あそこに奴隷たちが上がるんですか?」

「そうです。当市場のご利用は初めてですか?」

「ええ」

「そうですか。では、何か御用の際はこの鈴で担当者をお呼びください。貴族の方には一人一人、専属の担当者がつくことになっておりますので」


 それだけ言うと、黒服は下がっていった。

 さて、俺たちはいったんここでチリたちが動き出すまで待機だな。

 騒ぎが始まったら、俺は貴族として何食わぬ顔で主催者側の誘導に従って脱出。

 マキナは様子を見に行くふりをして俺と別れ、チリたちの援護に回ることとなる。


「……皆様、お待たせいたしました!」


 席で待つこと数分。

 ここで急に照明が暗くなり、朗々とした男の声が響いた。

 舞台を照らす光が強まり、派手な赤い服を着た司会者が姿を現す。


「今宵も当奴隷市場のメインイベント、オークションが始まります!」


 たちまち、ホール全体から割れんばかりの拍手が起こった。

 それに応じるように司会者の男は手を振ると、やがて舞台の端から鎖で繋がれた大男が姿を現す。


「まずはこの男! エントリーナンバー1番、元冒険者”八人殺し”のクローバーです!」


 司会者の声に合わせるように、大男は思いっきり両腕を高くつき上げた。

 そしてグオオオーッと野獣のような雄叫びを響かせる。

 おお、こりゃすごい迫力だな……!

 その顔つきは凶暴そのもので、目元に古傷があった。

 まさに八人殺しという異名に恥じない風格だ。


「この男はかつて仲間を三人殺し、さらにギルドから差し向けられた追っ手を五人も殺した猛者です! その性質は極めてデンジャラス! しかし、ご安心ください!」


 そう言うと、司会者は懐から指揮棒のようなものを取り出した。

 そしてそれを勢い良く振ると、たちまち大男がうさぎ跳びを始める。


「この隷属の魔道具さえあれば、主人の命令には絶対に逆らえません! また、この魔道具を握っていない時でも、奴隷紋の効果によって主人を害することは不可能となっています!」


 再び司会者が棒を振ると、大男は大きく手を広げて頭を前に突き出した。

 それはさながら、ダチョウの真似でもしているかのようである。

 その間抜けな姿に、たちまち会場全体から笑いが起きる。


「さあ、今は間抜けな姿のこの男ですが実力は折り紙付き! 戦わせて良し、護衛にして良し、使い道はいろいろとあるでしょう! 金貨五枚からのスタートです!!」


 司会者の声に合わせて、どこからかカンカンッと木槌を叩く音が響いた。

 それと同時に、会場の参加者たちが次々と手元にある札を上げる。


「金貨六枚!!」

「金貨六枚と銀貨五枚!」

「金貨八枚!」

「おおっと、ここで大きな値上げだ!」

「金貨十枚だそう!!」

「来たぁ!!!! 他にはいませんか! まだまだお買い得だぞー!!」


 勢いよく金額を告げる参加者たち。

 それを司会者が巧みに煽り、ドンドンと熱気が高まっていく。

 これが奴隷のオークションか……。

 もっと闇に紛れた暗いものだと思っていたが、まるで祭りだな。

 この華やかさが、逆にどうにも気持ち悪い。


「……不愉快だな」

「ええ、とても下品です」


 盛り上がる会場の一方で、俺たちは冷えて行った。

 マキナもまた軽蔑するような目で参加者たちを見ている。

 そして数十分後。

 何人かのオークションが終わったところで、急に照明が暗くなる。


「……これは、チリたちが仕掛けたか?」

「いえ、まだ予定の時間には早いです」

「皆様、お待たせしました! 本日の目玉の登場でえええす!!」


 司会者の声と同時に、舞台にパッと光がともった。

 そこにいたのは――。


「女の子?」


 まだ十歳にも満たないほどの可愛らしい少女であった。

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