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領地のすべてをゴーレムで自動化した俺、サボっていると言われて追放されたので魔境をチート技術で開拓します!  作者: キミマロ


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閑話 その後の伯爵領6

「……上手く行っていない、だと?」


 ラポルトの報告を聞いて、ヴィーゼルは苛立たしげにそう言った。

 グレイス商会の力を使ってヴィクトルに協力しているサルマトの物資調達を妨害させたものの、それが思いのほか、失敗続きなのだという。


「領内の主要な業者には十分に圧力をかけたのだろう?」

「ええ、どこもサルマト商会との取引は控えさせております。連中は領外の業者から仕入れているのでしょうな」

「……それは妙だ」


 ヴィーゼルは眉をひそめてそう言った。

 街道の関所には既にヴィーゼルの手の者が配されており、領外から大量に物資を輸入しているならばそこでわかるはずなのだ。

 だが、今のところそれらしき報告は全く上がってはいなかった。


「いずれにしても、多大な費用を掛けるのに見合った効果は上がっておりません。作戦は中止なされた方が良いかと」

「……仕方あるまい。ワイズマン家もうるさくなってきた頃だしな」


 ワイズマン家とは、王国北西部の雄とも称される公爵家である。

 シュタイン家からしてみれば、地方の顔役として何かと口を挟んでくる目の上のたん瘤のような存在だ。

 今回もヴィーゼルが行っていた工作を目ざとく察知し、戦に備えて戦略物資の買い占めを行っているのではないかと問い合わせをしてきていた。


「それはまた。ディロン様には何も言われませんでしたか?」

「先に私の方へ情報が来たので、父上に伝わらないように上手く誤魔化しておいた。代わりに、フィローリ様に賄賂を贈らねばならん羽目になったがな」


 そう言うと、ヴィーゼルは大きくため息をついた。

 工作がワイズマン家を通じてディロンに露見し、怒りを買う事態は避けられた。

 が、代わりにフィローリに賄賂を贈らねばならなくなったので、これはこれで非常に厄介な事態である。

 フィローリが求める賄賂は女。

 それも飛び切り胸が大きく、見目麗しい女でなければ認められない。


「それはまた……厄介ですな」

「うむ。フィローリ様は近いうちに茶会を行うから来いとのことだ。それまでに女を用意できなければ、恐らくは……買わされるな」


 苦々しい表情を浮かべるヴィーゼル。

 フィローリが灰被り猫の後ろ盾として闇の奴隷市場に一枚噛んでいるのは、王国貴族の間ではかなり有名な話だった。

 もし期日までに女が用意できなければ、奴隷市場で買わされるだろう。

 フィローリは女を手に入れ、さらに灰被り猫からバックを貰うというわけだ。

 とても良くできた仕組みであるが、高額な奴隷を買わされる側としてはたまったものではない。


「出来るだけ出費は避けたい。何としてでも見つけねばならん」

「しかし、フィローリ様のお眼鏡にかなうような女はなかなか……」

「それを何とかするのがお前の仕事だろう」

「そうおっしゃられましてもな……」


 腕組みをして、ラポルトはすっかり困った顔をした。

 グレイス商会も人を扱うことはあるが、基本的には労働者が中心である。

 急に有力貴族へ献上するための女を探せと言われても当てはない。


「こうなれば、領民を身売りさせるしかありませんな」

「だが、そう都合よく条件の揃った女が身売りをするか? ここ最近は豊作で、領民の暮らしぶりも安定していたはずだが」

「……実は、以前から仕込みがしてございます。少々時期が早いですが、それを使うことにしましょう」


 そう言うと、ラポルトは部屋の端に待機させていた秘書の方を見た。

 すると秘書はすかさず、鉄製の鍬をラポルトに手渡す。

 一見するとどこにでもあるような作りの鍬で、貴族を相手に披露するようなものではなかった。


「これをご覧ください」

「なんだ、ただの鍬ではないか」

「いえいえ、ただの鍬ではありません。魔法陣が仕込んでありましてな、とても軽いのですよ」


 疑わしげな顔をするヴィーゼルに、ラポルトは鍬を握らせた。

 こうしてヴィーゼルが鍬を持ち上げてみると、なるほど、確かに軽い。

 普段は食器より重いものを持たないヴィーゼルですら、驚くほどの軽さだった。


「大したものだな。ふむ、これを高く売りつけるという訳か」

「いえいえ、銅貨五十枚で売ります」

「待て待て、そのような値段で売り付ければ大赤字ではないか!」


 意図が読めず、声を大きくするヴィーゼル。

 しかし、ラポルトは落ち着き払った様子で言う。 


「実はこの鍬ですが、軽量化の魔法が三年で解けるようになっておりましてな。そうなると、非常に重くて扱いにくい鍬となります」

「ほう?」

「そうなった際に、修理料を思い切り高く取るのです。この鍬に仕込まれている魔法陣を修復するには専用の技術がいりますからな、値段が張ろうと我々を頼るほかはありません」

「だが、そう上手く行くのか? 普通の鍬に戻りそうなものだが……」


 ヴィーゼルはそう言うと、鍬を見ながら訝しげな顔をした。

 いかに便利なものであろうと、高ければ買わないだろうと思ったためだ。

 しかし、ラポルトは自信満々に言う。


「人間、便利さになれると簡単には元に戻れません。我々が領民の生殺与奪の権を握るのもすぐでしょう」

「それもそうだな。はははははっ!!」


 高笑いをするヴィーゼル。

 それに続いて、ラポルトもまた機嫌よく笑った。

 だが二人は気付く由もなかった、この起死回生と思われた策がさらなる最悪の事態を招くということを――。

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― 新着の感想 ―
いやぁ流石に高過ぎたら普通の鍬にもどるでしょ。金がなきゃ他の便利が制限されるんだから
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