299.たまには、若者の真似事をしたって良いだろう。
たまには、若者の真似事をしたって良いだろう。
お役所仕事を手伝った次の日、日曜日の午後…
"年頃の男女らしいことをしておこう!"と決めた私と正臣は、札幌にやってきていた。
「観覧車も乗ったしねぇ…」
「まぁな。行っても良いけど、行くなら夜かな?」
「そうしよう。別に補導される年でも無いでしょ」
「多分ね」
札幌に来て、お昼ご飯を適当に食べて…
やって来たのはネットカフェ…というのだろうか?
漫画喫茶にカラオケとかダーツとかビリヤードがくっ付いた施設。
この間、ここにフラッと入ってみたらダーツもビリヤードも楽しかったので、とりあえずここで遊んでどうするか決めよう!という訳だ。
「501以外にさ、何か無いのかな」
「んー…なんかミニゲーム的なのもあるみたいだよ?」
「どれどれ」
戦績は2勝2敗…その辺りで何処か行こうか?と思ったが、もう少しダーツをすることに。
調べてみれば、ミニゲームがあるという事で色々眺めてみて、レンガ崩しなるミニゲームを選んで再びダーツを手にする。
「先行で良い?」「良いぞ」
「じゃ、早速…」
立ち位置に立って狙いを付けて、ヒュッとダーツを投げてみる。
トン!と音を立てて右側中央辺りにダーツが当たった後…
モニターに映ったレンガの城にボン!と砲弾が飛んで行き、ガラガラとお城が崩れ始めた。
「なるほど…そういう感じか」
「じゃ、下側当てれば派手に崩れるのかな?」
「やってみよっか」
お城が崩れ落ちる姿に不思議な笑みを浮かべながら、2人で戦略を話し合って…
そして私の2投目…さっきよりも下側を狙って投げて、見事下段の真ん中辺りにダーツが突き刺さると、上のモニターに映った城は下側に砲撃を受けて1投目以上に派手に崩れ落ちていく。
「やった!」「お見事~」
レンガ2つを残して崩れ落ちた城を見て喜ぶ私。
どうやら、このレンガを崩した数…キロ数で争うらしい。
崩れ落ちたお城は、正臣の番が始まる前にはガラガラと音を立ててせり上がって来た。
「さて、沙月よりかは崩したいんだけどもな…」
「どうだろうね?なんかゲーム的な仕掛けもありそうだよ?」
「どうなることやら」
・
何だかんだで3戦分城を崩した所でダーツを止めて外に出て…
僅かに夕方らしい空の色になっていたが、もう5月半ば…まだまだ外は明るい時間。
狸小路の人混みに紛れた私達は、ススキノの方へ歩いて行く。
「ゲーセン位しか無かったよな?」
「まぁ…そこくらいしか無いでしょ」
「飲み屋は…まだ数年先だわな」
「ねー」
次の目的地はゲームセンター。
調べてみれば、そっちにもダーツがあったのだからそこに行けば良かったのでは?とも思ったが後の祭りだ。
「UFOキャッチャーとかやってみたいかも」
「正臣、やったこと無いの?」
「まぁ…実は…」
「そう言っときながら私も無いんだけどさ」
「プリクラは?」
「穂花達に突っ込まれた」
「そうか…」
「撮りたかったの?」
「んー…撮っといても良いかなぁって。そうでもしないと一生撮ら無さそうだからさ」
「なら撮っておこうか…」
人混みに紛れてしまえば、若い男女のカップルなのだが…中身は田舎者である。
マリーナベイで出来る事ではあるのだけども…わざわざそう言う事をするかというと…
うーん、やらないだろうなぁ…
適当に会話をしつつ、ススキノの観光案内写真等の写ってる交差点を越えて、すぐ奥にある大きなゲームセンターに入っていった。
「とりあえず、先ずはUFOキャッチャーからだね。すぐ目の前じゃん」
1階は全てUFOキャッチャーのコーナーらしく、何か良い獲物は無いか?と見て回る私達。
日曜日だけあって家族連れから私達の様なカップル、大学生やら近寄りがたい人達まで…
色々な人種が揃っていたが、運よく?UFOキャッチャーのコーナーはそこまで人がおらず、快適に中身を見て回れた。
「で、何を取る…?」
「…余りデカいものも持って帰るのは面倒だよね」
「フィギュア系は、興味無しでしょ?」
「無しだね。正臣は?」
「俺も無し。かといってお菓子はなぁ…って思うから…」
ぐちぐちと言いながら、正臣と私はとあるUFOキャッチャーの前で足を止める。
それは、適度な大きさ…と言っても、そこそこ大きいのだが、まだ持って帰れそうなサメのぬいぐるみのUFOキャッチャーだった。
「幾らで取れるんだか」
「確率があるんだっけ?」
「らしい。アームが強くなる瞬間があるんだと」
「その時にミスったら大事だね」
「確かに」
そう言いながら正臣から1コイン…100円を入れてレバーを動かしサメを掴みにかかる。
案の定…?1回目はサメを一番上まで動かした所でアームが弱くなってポトリとサメが落ちてしまった。
「こうなるのか」
「なるほどね…」
次は私の番…というわけで、100円を入れて正臣と同じようにレバーを動かしサメを掴む。
再びサメが持ちあがり…そして再びアームが弱まってサメがポトリと落ちていった。
「「……」」
何とも言えない敗北感…この時点で、私達の頭の中に"撤退"の二文字は無くなった。
そこからかれこれ各自1000円分…100円を投じていき…
「よっし!行ける!!なんか違う!!」「こいっ!!こいっ!!」
大して欲しくも無いサメのぬいぐるみを前に盛り上がる私達。
正臣の操作でサメが上がっていき…今度は頂点でアームが弱くならない。
そのままアームが排出口に移動して、ポトリとサメのぬいぐるみが落ちてきた。
「「やった!!」」
パン!と手を合わせて喜ぶ私達。
正臣が青いサメのぬいぐるみを取り出すと、少々気恥ずかしそうな笑みをこちらに向ける。
そしてぬいぐるみを私に押し付けると、私達はサーっとUFOキャッチャーの前から避けていった。
別に誰かがやりたがってる訳では無かったのだけれども…撤退は早くするに限るだろう。
「さて、次はプリクラかな?」「だな…」
変に喜び過ぎたせいで目立ってしまったと思い、いそいそとプリクラを探して中に入っていく私達。
適当に入ったプリクラで設定をアレコレ弄って…いざ写真を取る段階になって、ふと我に返った私はサメのぬいぐるみを抱えながらボソッと呟いた。
「ぬいぐるみ持って撮る事になるのか…」
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