表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
入舸沙月の妖隠避録  作者: 朝倉春彦
伍章:境界線上の妖少女(上)
216/300

216.この景色が色づいて見える頃には、きっと私の気持ちが分かるはずだ。

この景色が色づいて見える頃には、きっと私の気持ちが分かるはずだ。

次の日、異境の"広場"に集まった私達は、独特な色合いの世界の中で、"赤紙の呪符"を使った模擬戦をするための準備をしていた。


「全員来た?」

「あぁ、39人いるな。呪符も配り終えたぞ。あと、一部の人には妖力を増す呪符も…」

「ありがとう。早速始めようか。大人達は"優秀"だから、午後には戻り始めるそうだし」

「嫌味な言い方だな」

「まぁね。まさかこんなに"仕事が早い"とは思わなくてさ」


今日もモトを隣に置いて、準備も整った所で早速活動開始。


「よし!今から11時半まで、ざっと2時間半、動き回ろうか!」


私は着物の裾から赤紙の呪符を5枚取り出すと、それを皆の前に掲げて見せた。


「今日は"模擬戦"をしよう!って昨日もやったけどさ。ちょっとルールを変えるよ!」


呪符を見せつけてそう言うと、眼前のお面集団はざわざわと騒めきたつ。

私はその様子を見て口元を綻ばせると、空いている方の手でモトを引き寄せた。


「え?」

「昨日みたいに"クラス分け"はしないよ!皆の相手は私とモトだけ!全員で掛って来な!」


私の言葉に、更にざわつくお面集団。

モトも僅かに驚いた顔を浮かべて私の方をジトっとした目で見つめていたが…

すぐに呆れ顔に変わると、やれやれと言いたげな様子で肩を竦めた。


「私は昨日みたいに"変身"しない!このままだ。だけど、昨日みたいに"接待"しないよ!モトも同じ!この差だからね、本気でやるでしょうよ。ねぇ?」

「あ?あぁ、俺は昨日も真面目にやってたけども…今日はもっと"気合い入れて"かかろうかな。この差はちょっと大変だもの」

「だ、そうだよ!ルールはこう!私とモトは赤紙の呪符を5枚使う!皆は、20枚位配られてるよね?それで、昨日みたいに"呪符"を使って攻撃して、私達を転ばせる…"ダウン"させるのが目標ね!」


声を張り上げてルール説明。

やる事は、殆ど昨日と同じだ。


「私達も皆を攻撃するけど、昨日みたいに何度当たっても言い訳じゃない。攻撃が当たって"転んだら"そこで終わり!広場の橋、本家に繋がる扉の付近に避けて見物!」


ちょっと違うのは、私達の側から"人数を減らせる"事。

流石に、2対37を延々と続けるのも分が悪い。


「呪符を使い切ったら、やられていなくてもそこで"終わり"!端で見物すること!OK?」


そしてもう一つ、呪符の使用制限も昨日と違う点だろうか。

私がルールを説明して皆に確認すると、コクコクと頷いてくれた。

異議や質問も無い…私はそれを確認してから。モトと目を合わせて、僅かに皆との距離を取る。


「それじゃ…早速始めましょうか!ちょっとまってね」

「結構多いな」

「あぁ、それを相手に朝から運動…ハードだねぇ」


ボソッとした声でそう言うと、モトと私は広場の端…

扉から離れた、異境の街並みを一望できる"展望台"の柵の辺りまでやってきた。


「よーし」


柵を背に当てて、これ以上離れられないといった所まで来ると、私は赤紙の呪符を1枚光らせて頭上に掲げた。


「始め!」


その言葉と共に、目の前の37人が一斉に動き出す。

彼らのうちの数名が私達を目掛けて呪符による攻撃を"打ち込んで"きた。


「っとぉ…」「あぶな!」


モトと私は左右に跳んでそれを躱す。

だが、37人…彼らは次から次へと私達目掛けて呪符を突きつけ…そして呪符を変化させて攻撃を飛ばしてくる。

広場はあっという間に呪符による爆風で煙たくなり、私は煙で悪化した視界をかいくぐって皆の攻撃を躱し続けた。


「良いのかなぁ?無計画に打ち込んでさ!」


煙たい中、私は煙に紛れて集団の真ん中に切り込み、手に持っていた呪符を頭上に掲げる。

モトの位置は、まだ最初に立っていた辺り…ここで"やっても"彼には当たるまい。


「「「「「!!!」」」」」


パッと周囲が真っ赤に染まり、囲んだ全員の腰が引けた瞬間、手からパッと呪符を放す。


 ・

 ・


「なにも"爆発"させなくたって良いんだよ?コッチの方が痛くないしさ」


眩い真っ赤な光と、一瞬の轟音が辺りを襲い…

瞬き二つした直後には、私の間近にいた面々は地面に倒れて気絶していた。

確か、こういう効果を期待できる武器が、現実にもあった気がする。

その辺は良く知らないけども、なにはともあれ、"残った"面々の反応を見れば、今私が行った攻撃は"良く効いた"のではなかろうか。


「あと、敵は1人じゃないんだよ?」


何もしない私を眺めたまま、唖然とした面々に煽りを一つ。


「俺の事を忘れてるな!」


刹那、モトの放った"爆撃"が数名を煤だらけの姿に変えていた。


「さぁさぁ!パニックに陥ってる暇は無いよ!」


モトの攻撃を受けて数名が脱落し…残った面々は一気にパニック状態に。

その様子を眺めて笑いながら、私はモトの動きに合わせて皆を追い込んでいく。


「焦らない焦らない!まだ20人位いるじゃないか!」


爆発と閃光が入り乱れる広場…

私達の攻撃から逃げ惑うので精一杯の皆に煽りを入れながら、軽い攻撃を撃ち続ける。

広場を駆け巡り、皆をかき混ぜて…モトと合流して、再び元居た立ち位置に戻った私は、モトと共に皆の方を見て足を止めた。


「モト、何枚使った?」

「2枚」

「上々、私も2枚」

「なら、俺等の持ち弾は6枚か」


確認を終えると、私達は手に新たな赤紙の呪符を掴んで手元を真っ赤に光らせる。

私達が止まったことで幾分かの冷静さを取り戻した皆も、赤紙の呪符を手にしてこちらに手を突きつけた。


「サプライズがありゃ良いけどな」

「無理そうだね。去年のモトと一緒だ。ま、最初の一歩としちゃ、上々だろ」


私はそういってニヤリと口元を歪めると、動く気配のない皆に向けて叫んだ。


「あと6枚!堪えられれば君達の勝ち!だけど、そうはさせないよ!」


お読み頂きありがとうございます!

「いいね」や「★評価」「感想」「ブクマ」等々頂ければ励みになります。

よろしくお願いします_(._.)_

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ