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入舸沙月の妖隠避録  作者: 朝倉春彦
伍章:境界線上の妖少女(上)
211/300

211.ここまで大勢を相手にするのは、ちょっと骨が折れる。

ここまで大勢を相手にするのは、ちょっと骨が折れる。

私の眼下には、"赤紙の呪符"を手にした"防人"がざっと15人程度…

皆、呪符の扱いになれていないから、さっきから何度も"閃光を放つ"ばかりで私に攻撃が飛んでこないのだが、それでも構わず彼らを煽り立てた。


「そうそう!何度も念を流し込みな!そのうち"自分の中で何かが変わる"んだ!」


道場の天井付近を飛び回りながら、"赤い光"を手に宿し、次から次へと彼らを"爆撃"して回る私。

彼らは私の攻撃を躱すために右往左往しながら、必死に呪符を扱いこなそうとしていた。


(サングラスでも、買っておけば良かったかな)


私の放つ"爆撃"と、彼らが放つ真っ赤な"閃光"のせいで、私達の側は常に眩い光に包み込まれている。

チラリとモトの方に目を向けると、あちらはまだ"勝負"になっている感じで、こちらほど"カオス"ではない様だ。

ちゃんと、モトの攻撃を"生徒"達が跳ね返し…時折モトに攻撃が飛んでいる。


(向こうは素養があったのか…はたまた隠す位の手伝いはやってる連中か)


こちら側の、呪符の扱いに苦労している面々を見回しながら脳内でポツポツ呟くと、手に宿した妖力の光を消し、ニヤリと口を歪めて着物の袖から呪符を取り出した。


「光らせてばかりの皆にプレゼントだ!」


そう叫んで、眼下で眩い光ばかり放つ"初心者"に向けて、"私の妖力"を込めた呪符を適当に放り投げる。


「それを額に貼ってみな!少しの間、扱える妖力が増すはずさ!」


投げた呪符は、さっきモトに貼り付けた呪符とほぼ同じ。

僅かに私の妖力が籠っていて、それを額に張り付けて各自で念を込めれば、一定時間妖力が増す。

配った呪符を手にして自らに貼り付け、念を込める様子を眺めていると、彼らの妖力が僅かに増していくのを感じ取れた。


「面と耳飾りでも"足りない"ってんなら。君達、普段から"大事"にされてるんだねぇ…」


眼下の防人に聞こえない様にポツリと呟く。

この年に、中高生になって、ここまで"初心"な奴も居るものだ。

どこの地域に住んでいるのか、どんな家系かは知らないが…

防人の力を気味悪がって使わない家も居ると聞くから、彼らはそういう所の出身なのだろう。


「さぁ!どうだ!?ちょっとは"マシ"になったんじゃない?」


増した妖力を肌で感じ取れた私は、驚いた様子を見せる"狐面"の集団に向かって"攻撃"を放つ。

手に宿した真っ赤な光を彼らに向かって放つと、さっきまでは爆発をただ受けるしかなかった彼らの動きが一気に変わった。


「おっ!?」


体が少々煤ける程度の爆撃だったが、その爆発は、彼らの誰かが放った反撃によって帳消しにされる。

私はニヤケた顔を更に歪めると、爆風の煙が晴れた中から飛んできた"攻撃"を見て、空中姿勢を僅かに変えた。


「出来るようになったじゃない!」


難なく攻撃を躱し…背後で小規模の爆発音。

パラパラと降ってくる"道場の埃"を被りながら、眼下の"初心者"達を褒めた私は、さっきまでと同じように両手に真っ赤な光を宿すと、ふと、道場の隅の壁に掛けられていた時計を見やった。


(もうすぐ6時か…)


夕方はとっくに過ぎて、もう夜といえる時間。

気付けば1時間以上、彼らとじゃれていた事になる。

私は1つ"悪い事"を思い付き、急降下しながら手に宿した光を皆に向けて放つと、彼らは即座に動いて散り散りになった。


「っとぉ!」


予定変更だ。

私は人が掃けた所に着地して周囲に牽制を入れる。

着地したのは、皆のド真ん中…"私が仕切った"ステージの中央付近。

皆は、真っ赤な光を宿したまま着地した私に攻撃を放つことはせず、私の様子をジッと見据えている様だ。


「ちょっとルールを変えようか。気付けば随分"動き詰め"だったものねぇ…上ばかり見るのも、疲れたでしょ?」


周囲を1回転して皆の様子を見回しながら一言。

そう言って手から光を消すと、周囲を囲んだ"生徒達"は怪訝そうな仕草を見せた。


「もうすぐ、ご飯時だからね。そろそろ終わり時さ」


そう言って着物の裾に手を入れて"私だけが扱える呪符"に念を流し込み、人の姿へと戻る。

周囲からの驚く声を浴びながら、私はクルリと回って皆の様子を見て回ると、再び着物の袖に手を突っ込んで、仕込んでいた"赤紙の呪符"を3枚取り出した。


「だから、こうしよう。今から私は赤紙の呪符を3枚だけ使う!その3枚は全部"攻撃"に使うから、攻撃を"食らわなければ"君達の勝ちって事にしようか!」


私はそう言って、3枚のうちの1枚に念を込めた。

その力は、さっきまでの"手を抜いていた"ものとは段違い…


「3枚だからと言って、3発とは限らないからね!言ったでしょう!使い方は人それぞれだって!」


ざわざわし始めた"生徒達"…私は人の姿のままニヤリとした表情を浮かべると、適当に目についた"男の子"の方を見て指をさす。


「さぁ!先ずはキミから"墜としてやる"!行くよ!」


そう叫んで足に力を込めて、畳を蹴飛ばし男の子と距離を詰めていく。

彼は近づいていく私に何の行動も起こせず、ただ驚いて、一歩後退しただけ。


「女は撃てないって?優しいねぇ…」


あっという間に間合いに入った私は、彼に向けて真っ赤に…どす黒い赤にそまった"赤紙の呪符"を突きつけて、力を発散させる。


「まずは一人」


一瞬のうちに小規模の爆発が男の子の身を包み込み、彼は真っ黒に煤けてしまった。

そんな彼の姿を見て、さっきとは別ベクトルのザワつきを見せる面々…

私はクルリと向きを変え、慌てて呪符を構えだした皆の様子を見回すと、"まだ3枚残っている"様子を見せる。


「まだまだ、"呪符を使い切る"ことはしてないんだ。こういう芸当も出来るのさ。"3枚"で全員やっつけてやろう。行くよ!」




お読み頂きありがとうございます!

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よろしくお願いします_(._.)_

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