204.マサカ、サイショカラコウナルトハオモワナカッタヨ。
マサカ、サイショカラコウナルトハオモワナカッタヨ。
毎週の様に京都へ通って"修行"して大正解だった…
脳裏で僅かに残る"人間"の部分でそう思い返した私は、自らの考えを笑い飛ばすと同時に腕を振るった。
「ナニヲッ……!!!!」
「ナッ!!」「ソンナ…!!」「クソッ…!!」
腕と同時に開かれた翼。
翼を開いたと同時に周囲に散らばった羽根は、"たった今"斬り裂いた外国人の血に汚れながらヒラヒラと落ちていく。
「オマエラ!シバラク、アバレルゼ!マキコマレナイヨウニカクレテナァ!」
両手で二匹の外人を斬り裂いた私は、呆気に取られた周囲の連中を他所にそう叫ぶと、トンと地面を蹴飛ばして舞い上がる。
上空へ舞い上がり、少し離れたところで私を見て、唖然とした顔のモトの方をジロリと見やると、私は"私に戻って"こう叫んだ。
「モト!"私は私のまま"だ!皆を連れて向こうに戻って、異常を教えてきて!ここの"掃除"は私に任せてくれていいから!」
妖の姿から放たれた日本語での叫び声。
妖の声色…甲高い、鳥類の様な声色で放たれたその言葉は、モト達"同年代"をゾッとした表情に染め上げたが、モトはすぐに私の意図を察して手にした呪符に光を宿した。
「分かった!沙月!後は頼んだぞぉ!」
モトの返答…私はニヤリと笑ってそれ以上何も言わない。
モトの手元で眩い光を放った呪符は、辺り一面を真っ赤に染め上げて轟音と閃光を放ち、妖達の視界と聴覚を奪う。
フワリと上空で漂ってそれを眺めた私は、モト達が問題なく逃げ始めたのを見ると、眼下で何かを取り出した外人妖達を見やって表情を消した。
「アブナイモノ、モッテヤガルナ」
そう呟いた瞬間、ヒュッと上空で位置を変える私。
その刹那、辺りをつんざく銃声が響き、私がいた場所を鉛玉がすり抜けて行った。
「マメデッポウゴトキ、オトサレルカヨォ!」
連中が取り出したのは、拳銃というやつだろう。
この異境ではもちろん、日本でもまず見かけない得物。
異境の妖達は、銃の発砲音に驚いて次々と通りから逃げていく。
狙われている私は、人の目なら到底捉えきれない銃弾を"見て避けながら"急降下すると、とりあえず目に付いた男に向かって腕を振るった。
「ッ…!」
爪で一裂き。
地面に足を付けて、再び地面を蹴飛ばすまでの短い間で、男の首は体から離れてポロリと地面に転がっていく。
私はそれを見ることなく、次の標的に向けて滑空し始めた。
「ば、化物だぁぁぁぁぁぁ」「殺せ!いや、無理だ!逃げろ!」
日本語の悲鳴が聞こえてくる。
残った食人鬼達…見た目は完璧に外国人なのだが…ハーフなのだろうか?
私は脳の片隅でそんなことを考えつつ、銃を乱射してくる連中の首を次から次へと落として回った。
「コレデ、ムッツ。ナカマ、ヘッテクゾォ?ドースルゥ?…」
通りの建物の上に登って、通りのあちこちからわんさか出てきた"外人"達を見下ろして煽りを一つ。
私の爪に"引っ付いてきた"誰かもわからない女の首を剥がしてポイと捨てると、下に集まった連中は一様に顔を青褪めさせた。
「ハナシガシタイナラ、ウチニ、クレバイイ。コンナ、バショジャア、ナクテヨォ…」
カシャカシャと、爪にこびり付いた血肉を剥がすと、私は体内の妖力を混ぜ合わせて両手を金色の光で包み込んだ。
「マ、ココニキタナラ、カエサナイ。コロシテ、ココノレンチュウノエサニスルカ…カクシテ、マワルダケ…」
そう言って、屋根を蹴飛ばし宙に舞う。
それを合図にしたように拳銃の銃弾が次々に放たれたが、私は器用に飛んでそれらを回避し通りに降り立った。
「アタラネェヨ、タコ!」
外人たちのど真ん中に降り立った私。
一様に、この異境に"紛れる"格好はしてきたようだが…
その顔の作りと髪色のせいで、"外来種"なのは一目瞭然だ。
「アッ…」「クソッ…」
銃口が私に向けられたが、外せば"味方"にあたるだろう。
降り立った私に銃を向け…そして引き金を引くのを躊躇した連中を他所に、私はニヤケ顔を貼り付けたまま動き出す。
「ソラ!」
トンッ!と地面を蹴飛ばして間近に立っていた女を"隠し"、そのままの勢いで近場に居た男を八つ裂きにしてから"隠してやる"。
あっという間に2人が消えた…それだけで周囲からは悲鳴があがり、やがて何かの糸が切れたかの如く銃が火を噴き始める。
「アハハハハハハ!!!」
放たれた弾は、私の体を貫かない。
「やめろ!撃つな撃つな!!!あぁぁぁぁぁ!!!」
「くそ!クソ!!!ちくしょぉぉぉ!!!」
「うわぁぁぁぁ…」
「あがぁっ…!!!!!!!!」
通りの店の壁に弾痕を残したり…味方を撃ち抜いたり。
通りのど真ん中…私の周囲で阿鼻叫喚…軽い地獄の様。
私はその中で軽々と足を動かし、次から次に、目に付いた外人どもを金色の光に包んで"隠して"回る。
隠された連中が何処へ行こうかなんて知った事ではない。
まぁ、所詮"食人"するだけの力なき妖…向こうで生きて行けるわけもないだろうが…それは、私達"防人"が気にする事では無かった。
「サァ…ノコッタノ…オマエラダケ…」
私の周囲に集る外人たちを次から次に隠して回り、あれだけいた外人も遂に残すところ後2人。
通りの、それも少々離れたところで私に銃を向けている男女は、私と目が合っても引き金を引くことをせず、顔を青褪めさせてただただ震えているだけだった。
「ヤリカタ、マチガエタナ。ジゴウ、ジトクサ」
翼を振るい、腕を振るい…体中についた血を振るい落した私は、そう言って2人の方へ近づいていく。
「ドウスル?シヌ?…ドコカ、トオクヘ、キエルカ?エラバセテヤルヨ」
カシャ!と両手の爪を合わせてかきならしながらそう言うと、2人は遂に銃を放り投げて私に背を向ける。
私は大笑いをしながら彼らを追いかけようと足に力を込めたが…
彼らの行く先に見えた人影を見て、ふーっと溜息を吐き、力を抜く。
数秒後、逃げた先で派手な轟音が鳴り響き、真っ赤な閃光が輝き…
瞬きを幾つかするうちに、逃げた男女は"防人"の妖2人に捕らえられていた。
「沙月様、お疲れ様でした。異境の騒ぎは私どもが引き継ぎます。妖の領分ですからね」
2人のうちの1人、沙絵が私の方にやってきてそう言い、膝を付いた。
「外国人…何処の手先かはまだ分かりませんが、京都のあちこちで"騒ぎ"を起しておりまして…至急、本家にお戻りください」
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