白と黒
夕飯は鍋だった。暑い時分に熱いものを、というのも乙である。
私は書斎に籠り、今日の出来事(イニシャルGのことなど)を書きとめ、沖田君研究の続きをしていた。沖田君が慶応四(1868)年に亡くなってからも、土方君は戦い続けた。勝てる見込みのない戦を、最後までやり通したのは、全く土方君らしいと言って良い。近藤さんの潔さもまた、彼らしく、どちらを武士の、いや、人としての美とするかは判じ難いものがあった。
目まぐるしい戦局の中を、沖田君だけがぽつねんと病床で過ごしたのだ。
寂しかっただろう。歯痒かっただろう。
ミルクティーを飲み、エクレアを食べながら、私は湿っぽい息を吐いた。
「何か考え事ですか」
声にぎょっとして振り向く。
「――――斎藤君」
土方君といい、心臓に悪いから、いきなりの怪奇現象は止めて欲しい。
「色々とね」
「そうですか」
沖田君と並ぶ、新撰組の遣い手だった斎藤君は、当時から何を考えているのか、よく解らないところがあった。
「話を聴きました」
「ああ、鷹雪君の」
要点のみを語るのは斎藤君の癖だ。
「白と黒の融和するところがあれば良し」
斎藤君は変わらぬ表情で続ける。彫刻刀で削り出したような鋭い輪郭。
「融和しないようであれば、俺が白を斬る」
無敵の剣と称された男の言葉に、私が斬られた心地になった。
タイトルロゴは空乃千尋さんよりのファンアートです。





バイオレット、バイオレット、シークレット。連載中です。