反発
芽依子、襲来する。
芽依子の場合、訪問より襲来と言ったほうがしっくりくる。
沖田君の女装姿を何だかきらきらと加工した写真を得意げにテーブルに並べて見せる。
「あら素敵!」
妻よ。
「どう、叔父さん。ぐらっと来ない?」
「来ないね」
一体、何を言っているんだ。芽依子は唇を尖らせてちぇー、と言った。
沖田君はしげしげと自分の写真に見入っている。頭を傾げている。無理もない。
執事服バージョンもあり、やはりきらきらや薔薇の花の加工が施されている。これ、日記に貼りつけようかな。何とはなしに悪戯心が湧き起こる日曜の午後。呑気なものである。
しかし沖田君が女性に生まれ変わったら美女になるんだろうな。少し見てみたい気もする。
私の耳には土方君の声が木霊して離れない。
〝あれは、はりぼてだ〟
その言葉を聴いた瞬間、私の中に、土方君に対する猛然とした反発が湧いた。はりぼての沖田君が、こうも活き活きとしているものか(死んでいるけど)。
ミニスカートを穿いている芽依子に、婦女子は脚を出すものではない、と注意している沖田君は、生真面目で純朴な青年そのものである。一体、人は何をしてその真贋を見抜くのか。
私が沖田君と断じるからには、彼は沖田君なのだ。
土方君は毀誉褒貶の激しい人物であり、それで私を含む隊士ともしばしば衝突した。
死んでもその習性は変わらないものらしい。些かの憤りを抱きながら、しかし私は土方君の土方君らしさに、一方では安堵してもいたのだ。
土方君は私に爆弾発言をしたあと、おうち(石田寺)に戻って行った。
次に彼と会う時、私はどんな顔をすれば良いのだろう。





バイオレット、バイオレット、シークレット。連載中です。