表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/136

 島原は不夜城である。同時に、女たちの苦界でもある。

 屯所にいれば詰まる息を、ここに来ることで紛らわせようとしている私は、そうした女たちを軽んじているのかもしれない。苦界を休息の場所とする。

 馴染みの芸妓もいるにはいたが、私はここで一人、夜を明かすことを好んだ。店主もそれを承知の上で、紗々女だけを寄越す。

 多くの死を、私は見てきた。

 或いは敵であり、或いは味方であった者の命が散りゆく様を。

 私は総長という肩書のみ重く、余りに無力だ。

 近藤さんの変貌も、土方君の冷酷も、止めることが出来ない。

 

 そして、沖田君の病も。



 ちょっと食べ過ぎたかな。

 私は、グラタン腹になったお腹をさすった。実に美味しかった。マカロニ、海老、鶏肉、マッシュルーム。ホワイトソースはやはり絶品で、私は良い妻を持ったと思う。沖田君も気に入ったらしく、大いに食べていた。赤ワインのボトルは、瞬く間に空になった。


 夢を見た。


 ふわふわと空を漂っている。

 下には夜の町に灯る灯りが星のようだ。

 おかしいなと思った。

 なぜ、夜なのに、こんなに明るいのだろう。

 そう考えて腑に落ちる。

 そうか、ここは島原か。眠らない不夜城。懐かしい。

 下界ではあのようであったものが、上から見るとこのように見えるのか。

 何とまあ、人の命の小さきことよ。

 紗々女は息災だろうか。


 赤子を、無事に産んでくれただろうか……。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ