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カステラ

 職場で貰ったカステラと、妻が淹れてくれた緑茶をお伴に、私は書斎に籠っていた。

 暖色の明かりのもと、沖田君に関する資料を紐解く。改めて調べてみると、興味深い示唆が色々と出てくる。

 新撰組の掟としては『新撰組始末記』に載る「局中法度」がよく知られる。


 士道に背くまじき事、

 局を脱するを許さず、

 勝手に金策致すべからず、

 勝手に訴訟取り扱うべからず、

 (わたくし)の闘争を許さず、


 この五箇条に違反した者は「切腹申し付くべき候なり」と。

 実はこの掟、『顛末記』に載る禁令四箇条(最後のを除く)を参考にしたもので、同時代史料などには見られないのだ。

 新撰組の根幹とも言える、局を脱するを許さず、だけは確実に存在したようだ。

 私はあむあむとカステラを食べながら本のページをめくる。ざらめの甘さが美味しい。


 いったん組入りいたしたものは、破談相成らず。絶えて離れ候わば、仲間より切害(殺害)いたし候定めの由。(文久三年六月、『彗星夢草誌』)


 壬生浪士組は、出奔せし者は見付け次第、同志にて討ち果たし申すべく、との定めの趣。

(『元治秘録』)


 ふむ。私はさんなんさん、山南敬助に思いを馳せる。

 彼が本当に脱走したのであれば、成程、掟の骨子を蔑ろにする行為をしたと言え、結果、切腹に至るというのも納得出来る。


 しかし彼に関しては別の説もある。

 当時、療養生活を送っていた彼が、形ばかりの副長筆頭であることに懊悩し、葛藤と憤りの末に自害を試み、死に切れずにいたさんなんさんを……、沖田君が介錯してやったのではあるまいかというものだ。



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