チョコもなかアイス
今に残る沖田君像を紐解けば、二面性が見えてくる。
朗らかで子供好き。邪気のない面。
非情で冷酷な暗殺者の面。
私は前者の沖田君しか知らない。
そして沖田君の本質はそちらだと思う。いや、思いたい。
新撰組で剣を振るった沖田君は、幸せだったのだろうか。
現在、私の横でチョコもなかアイスを頬張る沖田君は実に幸せそうなんだが。
沖田君、頬にチョコがついてるよ。
すかさずそこを妻が写メる。抜け目ないね。
彼はのほほんとされるがままだ。何をされてるのかも解ってないんだろうけど。
こう見ると、とても短気には見えないんだがなあ。
沖田君が近藤勇の代わりに稽古をつけた際、教え方が乱暴で短気だったから、勇よりも怖がられていたという話が残っている。
ふ、と沖田君が見せた側面を思い出す。
烏と話していた彼。
沖田総司は愚かだったと言った彼。
沖田総司は愚かだった。
なぜ彼は、そんなことを言ったのだろう。
あれではまるで沖田君が――――。
などと思いながら私は沖田君の頬についたチョコを拭ってやった。
すっかり情が湧いてしまっていることは、否めない。
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