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 穏やかな春らしい気候の休日だった。

 沖田君が縁側で眠りこけていた。ぽかぽかして日当たり良好だからな。

 でも幽霊でも寝るんだなあと私は半ば感心して彼の寝顔を見ていた。


「……なんさん」


 ん?


「さん、どうして」


 何だか夢にうなされているようだ。苦しそうだぞ、どうしよう。いや、悲しそう?眉間に皺が寄っている。妻は今、買い物に出かけていてこの事態に対応するとしたら私しかいない。

 どうして、と沖田君は繰り返す。

 私まで悲しくなってしまう。こんなに良い陽気なのに、沖田君は悲しい夢を見ているのか。


「さんなんさん」


 沖田君が寝たまま、私のシャツの袖を掴む。私は振り解けない。

 これはあれか。さしずめ山南敬助の夢を見ているのだなと私にも検討がつく。

 確か山南敬助は脱走したのだよな。それで連れ戻されてその介錯を沖田君がしたんだっけ。でもそう言えば違う説が最近、読んだ本に載っていたな。山南は脱走したのではなく――――。けれどその説が正しいとすれば山南の死は……。私の顔も自然と曇る。


 沖田君の目尻に光るものがある。


 私は見てはいけないものを見た気持ちになって、掴まれてないほうの手で、そっとそれを拭ってやった。

 折角幽霊になったのなら、悲しい記憶も忘れていられれば良いのにな。




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