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さんなんさん

 沖田君を連れて帰宅すると、妻がいつもの笑顔で出迎えてくれた。これで心中、色々と思うところはあるだろうにと、私は妻の健気さに感じ入った。柿の種とピーナッツと、ぬる燗が出される。たまにはこういうのも良いか。

 縁側で沖田君と、一杯やりながら歓談する。先程の、烏との会話のことは尋ねない。私の中に遠慮する私と気後れする私とがいる。さんなんさんって何だろうなと思いつつぬる燗を湯呑で飲む。ほってりとした温もりが身体に沁みる。柿の種とピーナツを齧りながら話す。


「新撰組では士気を高める為の運動会みたいなものはなかったのかい」

「運動会? まだ僕らが多摩にいた頃、紅白試合はありましたよ」

「ほう」

「近藤周助先生が隠居されて、近藤(勇)さんの四代目襲名が決まった時です」

「ははあ。一種のセレモニーだな」

「六所宮の広場で開催されました」

「君は紅白、どちらだったんだね」

「僕は本陣にいて、太鼓役を勤めましたよ。大将、この場合は近藤さんですね、の采配に従って、鳴り物で軍に進退を知らせるんです。結局あの時は、土方さんやさんなんさんがいた、紅組が勝ちましたね」

「さんなんさん……」


 さっき烏にも言っていた名前(?)だ。


「ああ、山の南と書いてさんなん、さんなんさんと読むのですよ」


 そう言うと沖田君はぬる燗をぐびりと飲んで、葉桜になりつつある桜の樹を見た。




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