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少年陰陽師
「オン・アロリキヤ・ソワカ」
清涼な声が、落雷や雨音にも負けず響いた。鷹雪君が縁側に立っている。肩で息をして。沖田君の動きが止まった。まるで見えない鎖に縛り上げられたように、もがいている。
「これを使え」
投げられた白い鞘の日本刀を、私は受け取る。金の豪奢な装飾が施されたそれは、明らかに奉納用のご新刀に見える。実用に向くかはさておき、ないよりははるかにましだった。
私はすらりと刃を抜いて、改めて沖田君に対峙した。だが、剣先がぶれる。沖田君を斬る、という行為にどうしても抵抗がある。
「影だ、そいつは。斬ってやれ。そうすれば沖田総司も解放される」
低く早口で鷹雪君が告げる。
――――私はそれでも自分に残る躊躇を振り切って、沖田君を袈裟懸けに斬った。
斜線の軌跡が光る。沖田君から血は出ないが、打撃を受けたのは明白だった。
よろめいて、くずおれる。
沖田君の赤い目が、通常の色に戻った。





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