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荒れ模様
だいぶ、梅雨が長引いている。
台風も何度か発生して、まあ夏の名物とは言え、被害は最小限に留めて欲しいものである。
閃く稲光は白い龍に似ている。
数秒後にどーんという音。妻は耳を塞いで縮こまっている。昔から雷が駄目なのだ。野試合の数日後、偶然に会った時も雷雨だった。送りましょうかという私の申し出を申し訳なさそうに受けた顔を今でも憶えている。
……え?
何の話?
今、全く知らん情報が頭を通過したぞ。前世の記憶だろうか。誰だったんだろうなあ。近藤さんとかだったら笑うに笑えないぞ。せめても女性であって欲しいと願うのは男女差別に繋がるだろうか。
縁側では濡れる為、沖田君はソファーに座っている。その目は虚ろで、どこを見ているともしれない。――――何だろう、この胸に湧く不安は。
それはまるで丁度今の空模様のように暗雲めいて、私を落ち着かなくさせた。
妻が硝子カップに出してくれたバニラアイスを、食べようとしていた時だった。
沖田君の様子が、おかしくなった。





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