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西瓜
しゃくりしゃくり。
私たちは縁側で西瓜を食べていた。今日は斎藤君不在で、沖田君と土方君が私を挟んで座っている。
「おい、知ってるか、総司」
「何ですか、土方さん」
「西瓜の種を飲み込むと、へそから西瓜の芽が出るんだぜ」
「また土方さんはそんな冗談を」
土方君の沖田君への扱いは完全に弟に対するそれだ。可愛くて仕方ないんだろうな~。その分、きっと喪った時は辛かっただろう。ちょっとしんみり。
「冗談じゃないって。な? さんなんさん」
「そうだねえ」
「本当ですか」
沖田君、半信半疑の顔。風鈴の音がちりーん。
でも沖田君のおへそから西瓜の芽が出たら可愛くて面白いね。
「実がなったら収穫しよう」
「ご亭主まで」
にやにやにや。
私と土方君は共犯者の笑みで沖田君をからかう。どこか少年の風情を残す沖田君は、悪戯心をくすぐられるのだ。悪い大人たちである。それにしても西瓜が美味しい。よく冷えていて甘味も十分。お菓子も良いけど果物も良いね。
あれ以来沖田君に変貌の兆しは見られない。
あの、獰猛な獣のような。抑え込んでいるのだろうか。苦しくはないだろうか。
いずれあれと対峙しなければならない時が、きっと来るのだろうと私は考えていた。





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