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残り香

挿絵(By みてみん)

 ああ~。暑い。

 暑い上に斜めに雨が降っているものだから、窓を開けることも出来ない。私は今年初めての冷房を入れ、書斎でぱらぱら、資料のページをめくっていた。

 歴史が変わった為に資料文献には記述に変化があったところが散見され、さんなんさんの及ぼした、いや、土方君の及ぼした効果、影響に慄いてしまう。中にはさんなんさんの子孫の覚書もあり、おお、マイソン! などと思う。何だか落ち着かないのは、私と紗々女の間に出来た子の末裔がそれを書いている、即ち妻への裏切り行為の証がばっちり残っているような、そんな後ろめたい気がするからである。前世は前世、今は今、と堂々と言い切れないのは、未だ沖田君たちと誼を通じているせいかもしれない。

 ちょっとコーヒーゼリーって癖になるね。

 コーヒーゼリー入りエクレアを食べて以降、ちょっとしたマイブームになっている。ローカロリーだし素晴らしい! 上にちょこなんと乗っている生クリームがまた、いじましく可愛らしいではないか。


 さんなんさんが切腹しなかったことで変わった歴史は多いが、土方君と斎藤君のその後はほぼほぼ変化なかった。貫き通す、という彼らの生き様を愚かと呼ぶのは容易いだろうが、私にはとても愛おしく思える。


 明治二(1868)年五月十一日、土方歳三討死。十八日、五稜郭正式降伏。享年三十五。

 大正四(1915)年九月二十八日、藤田五郎(斎藤一)病死。享年七十二。


 私はそれらの記述の箇所を指でなぞる。

 一つの時代を生き切った人たちの残り香を追うように。




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