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梅酒ロック
家に帰りつく頃には背中が汗でびっしょり濡れていた。私は軽くシャワーを浴びて汗を流した。排水溝に流れゆく液体の流れ。こんな風に、沖田君も消えてしまうのだとしたら、夢の沖田君は眠ったままのほうが良い。
身体だけはさっぱりして、心はやや重いまま、リビングに向かうと、沖田君と妻が談笑していた。今日は土方君も斎藤君もいないらしい。よく見れば二人の手にはロックの梅酒。ずるい!
私にも頂戴、と妻に言うと、はいはいと笑って出してくれた。縁側の、沖田君を両側から挟む形で私たちは座る。よく冷えた梅酒が美味しく、私の気持ちは暗雲が晴れるようだった。
ほろ酔いの頭で考える。
今の沖田君で良い。
今の沖田君が良い。
水の中、眠る彼には悪いけれど……。
美酒美食を楽しみ、時折、芽依子たちの玩具になってもらって、朗らかな笑顔でいてくれる。そんな沖田君以外を私は望まない。彼の輪廻転生の輪を正道に戻す必要があるのなら、それはもっと先でも良いのではないか。土方君も斎藤君も未だ彷徨っている。彷徨うことは、悪だろうか。必ずしも、そうとは言えないのではないだろうか。私のこうした考えを聴けば、きっと鷹雪君は甘いと言って嗤うのだろう。





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