君の死ぬ時
紗々女と私の子孫が今もいるという。
逢ってみたいという思いと、それは妻への裏切りではないかという思いがある。安らかに息を引き取った。傍には紗々女と子がいた。もう、それで十分ではないかとも考える。私は、たこ焼きパーティーのくだりを日記に書き記しながら、梅酒と羊羹を食べる。羊羹がしつこくない上品な甘さで美味しい。
「沖田君……」
「はい」
「うわあっ」
呼んだらいたのでびっくりした。だから、怪奇現象は止めて欲しい。心臓が縮む。寿命も縮みそうな気がする。
「おうちに帰ったんじゃなかったのか」
「何となくご亭主の様子が気懸かりで」
「――――そうか」
寄り添ってくれようとする彼の意志を感じて、嬉しかった。
徳川慶喜が恭順の意を示したあと、江戸帰還後の新撰組は甲州鎮撫の計画を練り、「新選御組衆」、「新撰御組鎮撫隊」などと名乗った。他にも隊名を「甲府御用鎮撫隊」とする史料もある。私自身は甲陽鎮撫隊と記憶している。その中に、沖田君の姿はなかった。彼の病を思うと同時に、沖田君がいてくれたら、と願うことは度々あった。戦力の面でももちろんそうだが、沖田君には人を慰撫し、鼓舞するものが備わっていた。剣才と共に天性のものだろう。同じことを、きっと土方君たちも感じていると思いながら、誰もそれを口にしなかった。間もなく喪われる命を話題に上らせることを避けたのだ。
時間の問題だった。
沖田君が先に逝くか、私たちが先に逝くか。そこに大きな差異はなかったのだ。





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