「131話」
気が付いたら22時過ぎてました(´・ω・;)
「走れっ! ひたすら走れ!!」
俺のセリフを聞いて誰かがそう叫ぶ。
後ろを振り返れば森しか見えないけど、ドドドドって感じで地響きみたいのが響いてるし大軍が迫っているのは明らかだ。
自然と皆の走る速度も上がるというものだ……ちょっと置いてかれそうで泣きそう。
必死こいて皆について行こうと足をひたすら動かしまくる俺。
いやー、必死ですね。
そして必死こいて走っていると、ふいに背中にぶにって感じで何か柔らかくずっしりとしたものが覆いかぶさってきた。
これは間違いない。タマさんですね。
この感触は肉球とお腹とみた。ぐふふ。
「おっ……おほぉぉおぐっ!?」
「……そのまま走るニャ」
思わず声でたんだけど、後頭部はたかれたよ!
タマさんは俺の背中にひっついたまま何やらやたらと長い詠唱を始めた。
……なんかすっごい背中ぴりぴりするんですけど、これ大丈夫よね? 余波でみんなふっとんだりしないよね? 背中から感じる圧がとんでもないことになってる。俺に向けられたものじゃないと分かっているのにじわって汗かいてきたし。
大体30秒ぐらいかな、それぐらい経ったとき不意に背中の圧が消える。
それと同時にタマさんは俺から飛び降りると自分の足で走り始めた……すん。
タマさんの魔法は何というか……背中から感じていた圧から想像する魔法と違ってこう、綺麗なものだった。
白く発光する小さな粒がフワフワと雪みたいに上空から舞い降りる感じ。
……ただ、その威力は綺麗とかそんなんじゃなく、凶悪だった。
その雪が敵に触れた瞬間、触れた個所から一気に燃え上がり一瞬で消し炭になる。
下層の高レベルな敵が触れただけで死ぬような魔法が、雪みたいに舞っている……これ、よけるの無理だし範囲くっそ広いし、しかもあの光の粒さ敵に触れても消えないのね。 地面に触れると今度は地面が真っ赤になってドロッドロに溶け出したし。
これ、もう敵全滅したんじゃね?
……って思っちゃったけど、そう上手くはいかないらしい。
熱に耐性があるのか、それとも魔法か何かで冷やしたのかちょこちょこと赤熱地獄と化したそこから抜き出るものが居た。それは徐々に増えていき、ついには地平を埋め尽くさんばかりの敵が再び俺たちを追い始めたのだ。
とは言え相当数減っているはずだし、距離も大分稼げたし……あと何かあれば入り口まで追いつかれることはないと思う。
「次は俺が」
お、キンバリーさんが何かするっぽい?
地面に手をついて……おう?
地面の上に転がっていた石とか、あと後方に生えてた木とかが地面にずぶずぶと沈んでいく……。
なんだろ、底なし沼みたいになってるのかなこれ? こんな能力もあったんだねえ。
足止めには良いと思うけど、うまい具合にはまってくれるかどうか……あ、そうだ。
「……タマさん、こいつに補助魔法お願い」
「ニャ」
俺の分体にもがんばって貰っちゃおう。
底なし沼の底から触手で引っ張れば足止めどころか結構な数倒せるんじゃなかろうか?
とりあえずさっと分体生み出してー、タマさんに補助魔法かけて貰ってあとは作りまくった桃食わして完璧だ。
「じゃ、これ食って……頼むな」
分体に桃を渡すと素直にもしゃもしゃ食べ始めた。
俺も消耗しちゃったし桃食っておこう。
分体は桃を食い終わると近くに生えていた木へと向かい、躊躇なく木と同化しはじめた。
……まじか。
俺は嫌な予感がひしひしとするからしないけど、分体は特に気にしなくていいからか。
分体に出す指示はできる限り敵の足止めをしろ、だ。
木と同化してどうやって足止めするのか興味はあるけど、追われている以上ゆっくりそれを見ている暇なんてない。 一応索敵の根っこはあるから大体分かるだろうけど、目で見るよりは情報が限られる……まあ、しょうがないよね。
少し後ろ髪をひかれながら俺はその場をあとにした。




