「109話」
明日から奇跡の四連休……。
今日含めて5日連続で更新予定です(´・ω・`)よろしくでーす。
少しして、リタさんが奥から戻ってくる。
その手には一冊の本が抱えられていた。
「お待たせしました。 こちらが今ある物件の一覧になります……まずは一通り見てみますか?」
「みますみます」
「ニャ」
リタさんが持ってきた本は結構分厚い。
その分物件もいっぱい載っていることだろう。期待できる。
「ふむふむ」
実際ギルドが扱う物件は数も種類も豊富だった。
開くページのどれもが多少似ている所はあれど別の家である。
あまり規格化とかされていないのかも知れないね。
「だんだん広くなっていくんですねー」
最初の方のページは狭くて、たぶん一人暮らし用とかそんな感じの物件ばかりだった。
本には間取りと外観がのっているので見ているだけでも結構楽しい……が、俺が欲しい物件はもっと広いところだ。 なのでページをペラペラとめくって先に進んじゃおう。
っと、俺だけで選んじゃダメじゃん。
タマさんの意見も聞かないと。 半分お昼寝の体勢に入ってるけど……タマさーん、まだ寝ないでねっと揺すってみる。
「タマさん何か希望あるー?」
「……暖炉があればいいニャ。 ほかはウッドにまかせるニャー」
ちらっとこっちを見て、そう言うと再びお昼寝体勢に入るタマさん。
だいぶ眠そうだね……てかあまり家に興味ないんかしらね。
「おっけ、暖炉ねー……とりあえず暖炉あるので絞ってと」
んまあ、暖炉があると良いのは俺も同じだし、暖炉付きの物件を探そうと思う。
暖炉の前でウトウトするにゃんこ。いいよね……。
「6件あるね。 ……こっちの3つは他より部屋数少ないからどかしてっと。どれがいいかなー……ん?」
一通り眺めて見たけど、暖炉付きで広くて部屋数もある物件となると思ったより少なかった。
とりあえずより部屋数多いのを残して、さあどれにするかなーと思っていると手元にすっと何かが伸びてくる。
ページをぺらりとめくり、ポンポンと叩いてみせるそれは象の鼻であった。
ずいぶん器用ですね……。
「なになに……それが良いの?」
象の行動の意味するところは要はその物件がいいって事なんだろう。
なんつーかこの子頭良いよね。まじで。
んで象が選んだ物件はーと言うと……ふむふむ。
「庭がむっちゃ広いところだね……タマさんどう?」
象が選んだのは庭が一番広いとこだった。
どの物件も庭はあるんだけど、この物件だけやたらと庭が広い。
建物の面積の3倍ぐらいかな?
俺としては問題ないけれど一応タマさんにも聞いておこう。
「別にそれでいいニャ」
ちらっと視線を向け、暖炉があるのを確認するとタマさんはそういってまた寝る体勢に……とりあえず頭撫でておこう。
最近、頭撫でるぐらいなら噛まれなくなってきたんだよね。嬉しいような悲しいような……複雑です。
さて、物件決まったって事でリタさんに報告しませう。
なんか奥に引っ込んで何かやってるけど呼んじゃおう。
「って訳でリタさんこれにします」
「……こちらですか。 ……街の中心から大分離れていますが問題ありませんか?」
リタさんってばしれっと出てきたけど、お土産の酒飲んでましたよっ!?
ま、まあいいや……早速飲んでくれたってことだし。うむ、見なかったことにしよう。
んで、街の中心から大分離れているとな。
「んー……問題ないかな?」
「ニャ」
物件が街の中心から離れているのは大した気にならないかな? 買い物とか多少面倒いけど、別に歩くぐらいじゃ疲れないし、急ぐときは走れば良いしね。
タマさんも気にしてないし問題なし。
むしろ中心から離れた分、まわりの家もまばらになって良いんじゃないかと思う。
せっかく広い庭だし、BBQとかやりたい。
俺、家買ったら友達いっぱい呼んで、皆でBBQやるんだ……。
「状態は良い物件ですが、念の為中を御覧になったほうが良いかと思います、明日~明後日であれば確認出来ますが」
書類を用意しながらそう話すリタさん。
「それじゃ明日一応見にいこうかな?」
見取り図と外観だけじゃあれだしね。一応見に行った方が良いだろうね。
状態は良いそうだから念の為。
「分かりました。 それではギルド証をお預かりしますね、すぐお返しします……支払いは一括ですか?」
「一括でお願いしまーす」
お金ならあるんですよ。へっへっへ。
リタさんにギルド証を渡すと……おおう?
何かの装置に入れたぞ。なんだろ……あの装置で何か情報をギルド証に入力したりしてる? 何かやたらとハイテクだね、そこだけ。
ダンジョンの宝箱とかから出るんかねー?
とか考えてたらギルド証返却されました。
本当にすぐだったねえ。
「……はい、ありがとうございます。 購入を決定した場合は支払後に家の掃除を済ませてからのお渡しとなりますので、業者に手配をして……この広さであれば3日後に鍵をお渡し出来るかと思います。 支払いは明日、物件を見た後で大丈夫ですか?」
「大丈夫でっす。それじゃ明日また来ますね」
ありがたいことにちゃんと掃除もしてくれるようだ。
ありがてえ、ありがてえ……俺とタマさんが掃除とか惨事になる未来しか見えないしね。
リタさんに挨拶して、受付を後にする。
「あっさり買えそうだねー」
もうちょっと手続きだーなんだーで時間掛かると思ったんだけどね。1時間掛からずに終わったぞう。
いやー、楽しみだねえ。 暖炉用の薪を買っておかないとだ。
「ニャ。 でもすぐには住めないニャー」
「んー?」
なんだとう。
掃除終わったら住めるんじゃないのかな?
「家具とかそろえないとだニャー」
「あ、そか。 あとで買い物いかないとだね」
家具!
いるじゃん、必須じゃん!
家買ったのに床で雑魚寝とか悲しすぎる。
俺の脳細胞もう紫色なってるんじゃないのこれ。
とりあえず明日家の中を見て、どんな家具が良いか決めて、買いに行って……出来れば良い家具揃えたいし、物によっては時間掛かるよね、その分住むのが遅くなる……ぐぬぬ。
「とりあえずゴリさんにも家買ったこと報告しとこっと」
まあ、悩んでもしゃーない。
お客さん第一号予定なゴリさんに、家買うこと報告しておこう。
家買った記念パーティーとか開いちゃうぞ?ぐふふ。
「ゴリさーん」
いたいた、あの後ろ姿はゴリさんだ。
テーブルの前でなんか腕組んで立ってるけど、何かあったんかな?
「おーう、ウッドちょうど良いところにきた」
ちょうど良いところに?
なんのこっちゃいなー……とゴリさんの横からひょいっとテーブルの方を見てみると……。
「この酒美味いな。 ……もっと在庫あったりするのか?」
空になった酒樽が転がってた。




