2020年 冬
草木も震える冬の季節がやってきた。
今年は大雪が降る大雪が降るとよく聞くが、本当に降るのか全く不明である。
一応、いくつかタネを庭にばらまいたんだけど、一向に出現する気配がない。
そして12月も末と行ったところ、相も変わらず寂しくなった庭には、ブロッコリーの花が咲き乱れる。
黄色く小さな花が無数に咲いているのだが、一本だけなので綺麗というよりは寂寥感に拍車を掛けている気がする。
三つ葉のクローバーは大量に生えているのだが、地肌の面積に比べると少ないのでまばら、うん、これも寂寥感に拍車を掛けてるな。
だんだんと寒くなり、エルダーフラワーが青々とした葉を萎れさせ、枯れ木へと変化し始める。
また、三月位まではこのままになるのだろう。
来年咲かないってことないよな? とついつい不安になってしまう。そろそろ鉢から庭に植え直すべきか? いや、ソレをすると親に切られる可能性が出る。
折角最古参に成り始めたのだ、このままで居て貰いたい。
2020年の冬と言ったな。
アレは嘘だ。既に1月。もはや2021年の冬と言っても差し支えない1日のことだ。
朝起きたら、60センチ程の雪が積もってた。
それはもう盛大に、昨日の夜までは全くと言っていいほど積もってなかったのに、玄関から外に出られない位雪だらけだった。
当然、背中向いて新雪向かって飛び込んだ。わほーい。
お前年考えろよ。なんて言うなよ。
これは毎年の通過儀礼さ。
雪掻きを行いエアコンの室外機を救出。庭と家の間に備え付けられてるので雪掻きの際は庭を横断する形になる。
うわ、ブロッコリーが倒れとる。
とりあえず頭だけ出しといてやろう。
雪掻きは大変だ。
とくに上流から雪が流れて来ると家の近くにある用水路が溢れだす。庭が水浸しになった。
うわぁ、これブロッコリー大丈夫か?
そしてしばらく、今の所ブロッコリーだけは普通に生還している。
なんでこいつ無事なんだろう?
一応越冬はできるってことは証明されたし、雪の重みを耐え抜いた以上、今年もきっと成長するだろう。
まぁ、今年はもう放置状態で青虫たちのタワーマンションになるだろう。自分たちで床も天井も喰い漁って朽ちたマンションにしかねないけど。
たまに鳥がやって来るし、そのたびに青虫の数減ってたから、まぁ放置問題あるまい。
それにしても、なんか全然他の草生えて来ないな。
ずっと地面が顔出したままなんだが、やはり春まではこのままに成るのだろうか?
モノ寂しい庭になっちまったもんだ。
気のせいだろうか? 最近エルダーフラワーが緑色に成ってる気がするんだけど。
いや、葉っぱとかじゃなくて幹とかが緑がかって……これ、もしかして苔か? まさか病気? それともただの年季? 大丈夫ならいいけど、不安になって来るな……
エルダーフラワーはまだよかった。彼はまだ現役の風格がある。
それよりも危険水域に入ったのはフェイジョア。
そろそろ水やろうか、と思った時には土が乾いており、葉っぱの全てを反り返って上を向いていた。
そーっと触るとパキッと音を立てて葉が折れた。うん、折れた。
ちぎるとかじゃない。根元からぽきっと折れた。
完全に、干からびてるでありますッ!?
え? なんで? どうして?
そりゃ一週間程水やり忘れてたけども、隣のフィンガーライムはまだ青々としてるぞ?
え? なんでさっ!?
いや、待て。落ち付け。まだ焦る段階じゃない。
こいつはきっと日の光が足りないんだ。そうだろう?
水はたっぷりやったし、後は日差しだよな? よし、そろそろ温かくなってきたことだし外に出してやろう。うん、そうしよう。
……頼む、復活してくれぇぇぇぇっ。
そしてフェイジョアを庭に出したついでに庭をちょろっと耕す。荒れ放題の庭に適当にまたタネをまいた。
冬に蒔いた種は芽吹かなかったようだ。
残念ながら仕方ない、またその内生えて来る事を祈っておこう。
今回蒔いたのは家に余っていたタネ。枝豆とー、レモンハーブとー、なんかよくわかんないタネー。
多分果物食べてこれ育てようーと思ったタネだと思うんだけど、名前書いてないから何の種が既に分からない。まぁ、ヤバいのは育たないだろ。適当に蒔いておいた。
ふと、気付く、あれ、もしかしてメロンかな?
毎年毎年、家では無理だとわかっているのについつい植えてしまうんだよなぁ。今年こそはっていう謎のギャンブラー魂が叫ぶのだ。
うん、だから枯れるんだよ。
なんとか別の方法探さないとだよな。ちょっとはメロン自作してみたいし。
今年こそは、今年こそはきっと……あ、このタネヒョウタンだ。
ちなみにヒョウタンは実際に作れるのは実証済み。カメムシの温床になるけども……




