2020年 夏
六月中旬。ブロッコリーの葉がぼろっぼろになっていた。
いもむしくんが無数にくっついていたせいだ。
当然川流しの刑に処した。
さらに、フィンガーライムの葉っぱには見覚えのある青虫君。アゲハ蝶の幼虫だっけ。あのオレンジのうにょんと飛びださせる奴。
一度川流しにしても気付いたらまた復活してんだよ。
あと鳥の糞に擬態しているイモムシ君も付いていたので諸共に川へと投げいれた。
それにしても、ここ最近虫被害が多くないか?
庭だけじゃなく、家の玄関口にはナメクジが這ってたし、居間には女王みたいなでっかい蟻が出て来るし、風呂場にはムカデが忍び寄ってたし、自分の部屋にはゲジが疾走してやがったぞ。今年に入ってからいろいろとおかしくないか?
ブロッコリーの葉の裏にはびっしり黄色い卵の群れがあるし、雨がふるとナメクジさんが家の壁を這いまわるし、地面にはアリが列を作ってせっせと歩いてるし、ダンゴムシが丸まりミミズ君がのたうち回る。
本日も庭は混沌としている。
この前は謎の鳥が闊歩していて庭に出てみた瞬間ばっさぁっと飛び立って驚かされた。
ちっこいカマキリ君はステップ踏むように鎌振り上げてこっちを見つめているし、蜂と蝶はそこいら中の花と言う花を行き交っている。
なんでこんなに混沌としてしまったのだろう? 不思議だ。
やっぱり今年も生えて来た朝顔とそれに巻き付く長芋の蔓。絡まり合って締めつけ合って何が何やら分からなくなってきた。
いつもの如く顔をだした青紫蘇はこれでもかと生える。
あ、でもミントの葉っぱは見なくなった気がする。駆逐できたかな?
朝顔もそろそろ駆逐に乗りださねばならんか。幾ら引っこ抜いても次の年には生えて来るからなぁ。
七月、とある雨の日。
仕事帰りに道を歩いていると、道の真ん中になぜかクワガタがぽつんといた。
あまりにも自然に居たのでおもわず捕まえてしまった。
わっしゃわしゃ動くクワガタ。ちょっと赤茶色の体躯だったのでおそらくノコギリクワガタだろう。
結構デカくて思わず童心に返りそうになった。
結局家まで持ち帰ったものの、虫カゴなどはなかったので、ブルーベリーの木に設置することにした。
置いた瞬間木の枝を歩きだすクワガタ。
雨の日だったし葉の合間で雨を凌ぐつもりなのか、ある程度歩いた後は止まってそのままじっとし始めた。
よし、なんか満足した。
とりあえず写メを数枚取ってそのまま家に帰った。
翌日、クワガタはきれいさっぱり消え失せていた。
……そりゃそーだ。
季節は夏。
なのに雨。
コロナが徐々に県内に広がり始めた今日この頃。
メロンが……枯れた。
懲りずに育てようとしたメロンが、枯れた。
長雨のせいで根腐れ起こして、枯れた。
沢山の花が咲いていて、栄養の高い栄養剤を投入したのに……枯れた。
夏になったせいだろう。
雑草が伸び始めたせいで植えた食用の草木がどれなのか分からなくなった。
これは雑草なのか、それとも食用なのか?
この黄色い茎のはおそらくスイスチャードではなかろうか? 食べて大丈夫かな?
でもやっぱり不安だから置いとこう。
芋系植物と朝顔が絡まり合って今年も何とも言えない状態になってしまった。
まさに地獄のような光景だ。無数の触手が絡まり合い這い進み、SAN直直送な世界を広げている。
八月、庭に出た小生(しょうせい・昔の自分を指す言葉)は戦慄していた。
何があったか?
それは、祖母が無理。育たん、枯れる。と言っていたアレ。
父がこりゃ無理だろ。育つかっ。腐ってるだろと言っていたアレ。
母が無理じゃない? 根も這ってないし。枯れて来てるしと言っていたアレ。
そうやって皆に否定され続けていたアレだ。
赤玉土を使って半信半疑で育て始めたアレだ。
そう、ピーチパインが青々とした葉っぱを側面から茂らせ、見事復活を果たしていらっしゃったのだ。
その生命力の強さに小生は戦慄せざるを得なかったのである。
これは、つまり、出来る。出来てしまう。
ピーチパインが復活してしまうっ。
ぬははは、勝った。何かに知らんが勝った!
メロンなどもういい、俺は、俺はパインに心血を注ぐ。
俺はメロンを止めるぞぉジョジョォッ。
とある雨の日、私道を歩いていると遭遇した。
クワガタ、ではない。そう、蛇だ。
なんかにょろにょろっとしたのがいたんだ。
気付かれたのか急にスピードあげて誰かさんの庭へと去っていく蛇。庭に蛇、か。
うん。まぁ、なんだ。
何も、見なかったんだヨ。
夏が暑かったせいだろうか?
エルダーフラワーの葉っぱが枯れ始めた。
まさか、もう寿命なのか?
いや、そんなはずはない。土だ。きっと土が少なくなったんだ。根っこめっちゃくちゃ外出てるし。土を買わないとっ!! 九月に入る前に、台風が来る前に土を入れ替えるんだッ。




