寮監やらない?
ようやく今後のほのぼの生活の基盤が出来上がってきたところです
今後は将太と凪沙ののんびりとした木船荘での生活を楽しんでもらえたら嬉しです
理事長の唐突な提案に将太の思考が停止する。
「寮監、ですか?」
「そう、寮監」
「俺が寮監……?」
困惑に敬語すらも忘れてしまう。
「寮監をしてみないか、というのは……」
「バイトみたいなものさ。もちろん対価、賃金は払うよ? 仕事内容は寮の管理。主に掃除だね。他には備品の管理や寮生の健康管理とかだね。これとこれは雇用契約に関する書類。こっちは主な仕事内容とその手順を纏めた書類。他のは備品請求のための書類の書き方の見本等だね。それで――――」
「あ、あの、ちょっと待ってください!」
あまりに急な話だったため理事長の話が頭に入ってこない。今聞いた限りでは掃除しながら日用品の補充、施設内の体調の管理と今まで施設で暮らしていた時に将太がしてきたこととこれといって変化はない。できるかできないかで言えばできるとうなずけるものなのだが。
「おぉ、すまない、急かしすぎたね」
「すみません、一つ質問が。なぜ私に寮監を? 木船荘にはもともと寮監はいないのでしょうか?」
「いるよ」
「では」
「私が木船荘の寮監をしているんだ」
「え?」
理事長が自ら寮の管理人をするということが上手く呑み込めない。
なぜ理事長が自らそんなことをしているのか。将太は先ほどの木村の言葉を思い出す。
『木船荘は全権を東雲理事長が有しているんだ。管理もすべて一人でされててな』
管理もすべて一人で。つまりはそういうことなのだろう。
「なぜ理事長が?」
「まぁすごく個人的な理由になるんだがね? あの木船荘は私にとってとても思い入れのある建物なのさ。だから他人に管理を委ねたくなかった。私が寮監をしているのはこの我儘が主な理由さ。ほかにも長期的に寮生のいない寮の管理のために人材を使うのは勿体ないとか最もな理由はあるにはあるんだけど、やっぱり一番の理由はそれになる」
「……では私が寮監をするのも同じことでは?」
「何を言っているんだい? 君は私の学校の生徒、東雲生だ。いわば身内。他人じゃないだろう?」
それに、と理事長は続ける。
「先に言った通り君の保護者からはいろいろ話を聞いているよ。とても丁寧に掃除してくれるだとか料理が上手だとか。君の兄妹たちの世話もよくしてくれるだとか。いろいろ話を聞いて、見せてもらって君は寮監に向いていると思うんだよね。それに君はバイトするつもりなんだろう? だったらこのバイトどうかな? 条件的にはいいと思うよ」
理事長は真剣な瞳を将太に向けていた。だからこれが冗談などではないということは理解できている。理事長の言う通りバイトをしようと思ってもいた。理事長の提案も将太にとっては好条件だ。
少しの間思案して、将太は答えを出した。




