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唐揚げ美味しいですっ

「できた」


 お皿に盛った唐揚げを持つ由紀と筑前煮を持った将太がテーブルの上に並べていく。少し茶色が多く彩りに欠くところに若干の不満を覚えてしまう。


「む、なかなかやるわね……」


 綺麗にきつね色に揚げられた唐揚げの山を見て朱里はごくりとのどを鳴らす。

 今は部活後。たくさん練習をして疲労した体にとってこの山は垂涎ものだ。


 同じく凪沙も瞳をキラキラさせてテーブルに着く。


『いただきまーす』


 四人の合唱が重なった。

 いつもは二人だけの食事。だけど立った二人増えるだけでいつもの料理が二倍美味しく感じてくる。


「そろそろシューズ買い換えたいんですよね」

「凪沙のシューズ、確かにちょっと古いわよね」

「買い替え時」


 三人は部活トークで盛り上がり、将太はその様子を眺めている。

 話には加われないけれども楽しげな雰囲気を感じることができただ聞いているだけで楽しかった。


 施設でもそうだった。

 いつも将太は聞き手で離すのは兄弟たちで。


 だけど。


「高橋さん高橋さん! 今度朱里さんと由紀さんと四人で遊びに行きませんか?」


 いつの間にか話題はシューズの話から移り変わっていたようだ。

 次の休日に遊びに行く計画を立てているようでそのメンバーに将太も自然と含まれていた。


 まさか話を振られるとは思っていなかった将太は僅かな間呆け、ふんわりと目元を緩めた。


「そうだなぁ。何か予定があるってわけじゃないし、行こうかな」

「決まりね」

「……俺が一緒でもいいのか?」


 あれだけ将太に敵意を向けていた朱里が反対していないことに疑問を向ける。


「別にあなたのことを完全に信用したわけじゃないわ。まだ要観察期間だから」


 今度は敵意はあまり感じなかった。でもまだ疑っているようで思わず苦笑をこぼす。


「だから今回もあなたを見極めるためよ」

「そっか」

「朱里は面倒くさい」

「ちょ、面倒くさいって何よ由紀!」

「ま、まぁまぁ二人とも」


 じゃれる様に言い合う二人。おろおろとする凪沙。またも苦笑する将太。


 楽しい時というものは得てして早く過ぎ去ってしまうものだ。

 すこし作りすぎたかと思った昼食もあっという間に綺麗に消えている。


「ご馳走様でした。いつも通りとても美味しかったです」

「まぁ料理の腕はなかなかのものね」

「ん、負けられない」

「お粗末様でした」


 片づけは任せろと今度は凪沙と朱里が台所に立ち将太と由紀がソファーでのんびりすることとなった。ぼーっとした無表情の由紀を横に将太の意識は台所へと向いている。


「……心配?」

「ん、怪我しないかなと」


 その様子に気づいた由紀が声をかければ気もそぞろに答えたため由紀のような返事をしてしまう。


「まるで父親みたい」

「……せめて兄じゃないか?」


 ちらりと横を見ればわずかに口元が引くついていた。

 将太の反応が面白かったのだろう。

 楽しそうだなぁっと将太の気持ちが綻ぶ。


「朝倉とは高校で出会ったって聞いたけど、椎名とはいつから友達なんだ?」

「朱里とは小学校からの付き合い」

「幼馴染ってやつなんだな」

「腐れ縁ともいう」

「なんだそれ」


 やはり表情にあまり変化はないものの僅かに嬉しそうなことは見て取れた。

 言葉通りの意味ではないだろう。

 ただ、切ろうとしても断ち切れないほど強いつながりがあるのは確かだ。


 そういう関係が、将太にはとても眩しくそして羨ましかった。

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