襲撃 8
「ノールちゃん! どこ行っていたのよ!!」
「心配かけてごめんなさい」
荒野から空間転送で戻ってきた僕達は、直ぐに行動を起こした。
イチゴは正体不明魔導人形の報告に王都警備部隊に戻り、僕は姫様と最初に分かれた商業地域の入り口広場に戻って姫様を探したんだけど・・・
「本当にもう! ガランの警護魔導人形が私達に向けて何かしらの攻撃してきた可能性があるっていうし、それなのに何も無くて、慌てて帰ってきたらノールちゃんの姿が見えないしもう!! 心配したんだからねぇ!!」
涙目の姫様が僕を、ぎゅうぅうううと抱きしめてくれる。
こんなに心配させてしまって本当申し訳ないと思うのだけど、この胸の感触はちょっと良いかも・・・ん、良い匂い。
「ノールちゃん、何、にやにやしてるのよ」
「え? あ、ごめんなさい。こうして心配してくれる人が居るって思ったらなんだか嬉しくて・・・」
「!!!? な、なんて可愛いの!! もう、私の妹になりなさい!!」
「はは・・」
ん~テンション高いな。
「それより姫様、ガラン殿下はどうされたのです?」
「え? ああ、あれは先に帰ったわよ」
急に眉間にシワを寄せて心底嫌そうな顔に早変わった。
見た目ほど仲は悪くないと思ったんだけど・・・この顔見ると本当に嫌なのかも。
「さっきも言ったけど、私かガランのどちらかが狙われたらしいのよ。あ、そんな心配そうな顔しないで! 大丈夫。何も起こらなかったから」
良かった。
こっちには攻撃したかも程度で済んだみたいだ。
「ただね、ガランの護衛人形が変な事を言っていたから一度グリアノール大使館に戻って確認するとか言って帰ったのよ。まあ私としてはこれ以上ガランと付き合わなくて済んだから願ったりかなったりだったのだけどね」
「変な事ですか?」
「ええ、確か・・お姉様がとかなんとか・・・」
「ブゥウウウ!!」
「な、何?! どうしたの?! ノールちゃん!!」
あ、あの子達も僕の影響下に入ってしまっていたのね。
『ノール様の勢力が日に日に増しています』
増さなくて良いのに・・・・それより
「姫様、もしかして今一人なのですか? 護衛はいないのですよね?」
「あ、大丈夫よ。ガランが気を利かせて片方の護衛魔導人形を私に付けてくれたから」
お、さすが皇太子殿下だね。
馬鹿でもそれぐらいの事は分かってらっしゃる。
「でも、私が魔導人形を傍に置きたくないって言ったら、後方で見えない所から護衛させるからと言って半ば強引に置いていったのよ」
ナイスですガラン殿下。
「なので、大丈夫なのよ。だからこれから二人で街を散策しない?」
「え? お城に戻って報告しなくて良いのですか?」
「あら、ノールちゃんって案外生真面目なのね」
フィリア姫様が無沈着過ぎるのでは?
「いいじゃない。何が起こったわけでもないのだから、報告のしようもないわよ」
それはそうなんですけど、それで良いのか?
「じゃあ、まずは腹ごしらえね! 美味しそうな屋台を見つけたから行くわよ!!」
そう言うが早いか、フィリア姫様は僕の手を握りしめると、目的の場所に向かって走り出した。
ま、いいいか。
取り敢えず周囲に変な気配は見当たらないみたいだし、何かあれば僕が何とかすれば良いか。
姫様、本当は姫様を狙う刺客がいたんですよ?
と、言いたい所だけど、それは今は止めて姫様の笑顔を大切にしよう。
そして一日僕は姫様と一緒に街中を練り歩き一時の平和を楽しんだ。
また来ていただけると嬉しいです。
お願いします。




