【41】9月1日+③
「私、縮んだ?」
「いえ、オレが伸びたんです」
「マコトが縮め」
「また~、そうやって、先輩は無理な事ばっかり言うの止めて下さい」
「だって、勝手に私より大きくなってるんじゃないわよっ!!」
「“勝手に”って…、気が付くでしょう?あれだけ毎日会ってたのに」
学校近くで、こんなに大きな声で会話してるのは私たちだけ。
そんな私たちに、つかさが「千星さん、そろそろ急がないと遅刻ですわ」と言葉を掛けてくる。
そして、うふふっと意味有り気に微笑んで五十鈴とアイコンタクトを取っている。
「なに?二人して…」
「だって」
「だってね~」
「だから、何なの?五十鈴?つかさ?」
「姫野くんの事“マコト”に変わっているんですもの」
「夏休みの間、毎日会っていたの~?マコトくんと~」
「――っ!!!!!!」
「経緯は?――穂高くんは、ご存知よね?」
だーかーらー!つかさ!光星に訊くな!!
「マコトくん、千星ちゃんとの夏休み楽しかった?」
だーかーらー!五十鈴!私との夏休みって…、まるで二人っきりの夏休みみたいに言うな!!
他人が聞いたら変に思うじゃない!!
答えない代わりに、光星は白澤を、マコトも白澤に目を向ける。
「続きは、帰りに。――行くぞ」
埒が明かないと思ったのか、そう言って白澤は先頭を歩き出す。
「あ、待って!透!」とその後を五十鈴。
「では、帰りにね」と、つかさ。
「俺も、先に行くから」と光星が続く。
「千星先輩、行きましょう」とマコト。
「ちょっ…!待って!わ、私とマコトは――“友達”になっただけなんだからーーっ!!」
先を行く親友たち、弟、他1名(白澤の事)の背に向かって叫ぶ。
こうして、私の2学期は始まった――。




