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【35】8月30日+③



――午後。



「いつもの事じゃ」



何が?とは、敢て言わないし訊きもしない。


さすがにお腹が空いたと起きてきた大河さん。


マサミチさんは仕事に、マサトモさんはバイトに出かけ、姫野家には大河さん、光星と私、そして部屋に篭り続けているマコトの4人。


大河さんが、光星の作ったチャーハンを「うまい、うまい」と連発しながら本当に美味しそうに食べている。



「いつの事じゃ、夏休み恒例行事みたいなものじゃ」



毎年、マコトは夏休み残り数日で課題を終わらせているんだ。


去年まで、中学までは何とか出来ていたのが今年は――。


呆れて、かける言葉も見つからないし、返事も曖昧にする。



しくしく…、しくしく…・・・。



また、あのすすり泣きが聞こえてくる。


何だろう、無性に、こう、何て言うか、むかつく!!


イラつく!腹が立つ!!



「うう~~、もう、我慢出来ないっ!!!」



ズカズカと廊下をマコトに部屋向かって歩き出す。











私が出て行った後、キッチンでは――。



「光星、千星子はどうしたんじゃ?」



一人静かに食べていた光星に大河さんは尋ねる。



「姉さんも、まぁ、“いつもの事”という事で」



と、答えていた。


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