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【34】8月30日+②


しくしく…、しくしくしく…。



…あ、あれ?また、すすり泣く声が。


もう、たかが、マージャンで負けたぐらいで泣くなんて。


大人なんだから大河さん達も…って、――部屋が、ち、違うーーっ!!!!


別の部屋から聞こえてくる。


まさか、本当に怪奇現象なのっ?


座敷わらし(仮)が居ると思われる部屋の前に立ち、襖をそーっと少しだけ開けて中の様子を伺う。



しくしく…、しくしく…。



部屋の中には、机に向かう座敷わらし――って、……ん?


シャーペンの芯を出すカチカチという音と共に、ゆっくり振り返ってくる。



「ひっ!!」

「――千~星~せ~ん~ぱ~い~っ」



目の下に、もうどうしようもないほどのクマを作ったマコトが振り返って言った。



「――もう、涙も止まりません…」

「な、な、何が?どうしたの?」



だって、昨夜までは皆一緒にバーベキューして、それから花火だってしたじゃない!



「終わらないんです…」

「え?」

「去年なら、2日もあれば終わったのに…」

「何が?」

「今年は、課題が多過ぎ…」


「……ば、バカーーーーっ!!!」



あと1日で、夏休みも終わりというそんな静かな朝。


私の最大級の怒声が家中に響き渡った。


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