【27】7月28日+千星③
前を歩く光星も、後ろを歩くマコトも私の歩幅に合わせてくれているのが分かる。
丁度、あの公園の前を通り過ぎる。
昼間は抜け道を通ったけど、帰りはちゃんと歩いて帰っている。
なんか、変な感じ。
こんなに、ふわふわとした気分はいつ以来かな?
きっと、今ならあの時の話も笑って話せそう。
ううん、今が笑い話に変えるチャンスなんだ!
そう思い、私は話し始めた。
小学生の時、遊んでいたこの公園で男の子に間違われたんだよ、と。
「可笑しいよね?女の子相手に“女の子みたい”って」
最後に笑いながら「ねぇ、光星!私ってそんなに男の子みたいだった?」と話を振る。
光星はやる気の無い声で――。
「よく言うよ。俺、憶えているけど、姉さん泣いていたくせに」
「えっ?そ、そうだっけ?」
「服は俺の着続けて良いけど、髪ぐらいは伸ばしなよって言ったの憶えてない?」
「……記憶に、ございません…」
光星は、ちょっと不機嫌な顔付きになって「俺が千星の事、姉さんって呼べば、男だって思われずに済むよって言ったら納得しただろ?」と話す。
「もしかして、それがきっかけ?」
「そう。それ以来“姉さん”って呼んでるけど」
うわあぁ~~~!!
単なる笑い話にするつもりが、情けない話に変わっていく。
「でも、千星先輩。その男の子とが好きだったんですね?」
ずっと、黙って聞いていたマコトがそんな事を口にした。
「なっ?!!」
「だって、好きな人に男の子と思われて悔しかったんでしょう?」
「…ちょっと、待っ…えっ!!!!!」
な、何で、そうなるのよ~~っ!!!
笑い話にするつもりが、情けない話に変わり、最終的には私に失恋話になってるじゃない!!
「オレ、千星先輩に気持ち分かります」
「はぁ…、何でよ?」
「好きな人には、ちゃんと見て欲しいです」
「………」
マコトは、えーっと次はオレの話をしてもいいですか?と言って話し始めた。




