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【24】7月28日+真実③


玄関に向かうと穂高先輩がどこか居心地悪いそうに立っていて…。



「どうぞ、上がって下さい」

「――あぁ」



後は、先輩達二人にして話し合ってくれれば良いと思っていたのに、まさか、こんな展開になるとは――。


ほんのさっき見た一連の出来事を、穂高先輩ヴァージョンでもう一度見られるなんて…。



「うおぉーー!!!美人じゃあーー!!!タイプじゃあーー!!!」



な、何なんだ?オヤジ。それ、さっき千星先輩にも同じ事を言ってた。



「ワシと、お友達になってくれんかね?」

「………」



学習能力は一応備わっているようで、いきなり、交際を申し込まなくなっただけでも“よし”とする?


言ってる事は微妙に違うけど、穂高先輩の両手を取っているオヤジ。


穂高先輩は無表情かつ無言で、オヤジをいとも簡単に投げ飛ばした。


そして、次にミチ兄も。勿論、トモ兄も…。












オレの家族ってバカだ。


家族揃って好みのタイプが同じ?しかも、男も女も関係無しかよ?


展開は千星先輩の時と同じで、穂高先輩の一方的な勝利。


でも、千星先輩と唯一違うのは――容赦なかった。


穂高先輩って敵の戦意が消失しても、さらに徹底的に打ちのめすタイプだという事。


この人だけは、絶対、敵にしちゃダメだと強く思った。






    *    *    *






奥の部屋に、千星先輩と穂高先輩。


そして、何故かオレもここに居る訳で…。


千星先輩が「あんたもここに居なさいっ!」と強気な言葉とは裏腹に取った行動は、オレのTシャツの裾をぎゅっと掴んで放さない。


向かい合う姉弟。


まるで鏡に映っているかのような…、違いは性別の差だけのよう。


睨みあう訳でもなく、牽制してる訳でもなく、お互いの存在を確かめ合っているみたい。



「素直に謝るんじゃなかったんですか?先輩?」



そんなオレに言葉に、千星先輩は「う、うるさい!!」と目だけで言い返す。


でも、先輩もこのままではダメというのは十分理解してる。



「あ、あ、あのさ、光星――」

「――ごめん、姉さん」

「え?」

「ごめん…」

「あの、光星?悪いのは私――」

「姉さん、ごめん」



ひたすら謝り続ける穂高先輩と、どうしていいのか、ただ狼狽えるばかりの千星先輩。


オレの言葉――素直に謝る――に反応したのは穂高先輩の方だったようで…。


オレは黙って、静かに襖を開けてこの場を後にした。


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