【18】7月27日
薄紫色の朝顔が咲いて、緩やかな朝風に身を任せている。
空はただ何処までも青く濃く、夏の日差しは眩いばかり。
夏休みに入って本当に良かったと思う。
休みが終わるまで、姫野と会う事は無いだろう。
今の状態で、五十鈴やつかさに会うのも少し気が退ける。
ほっとしてる自分が居るのに気付く。
朝食後、出かける用意をしている光星と私。
「光星も夏期講習、申し込んでいたの?」
「誰が申し込みに行ったんだっけ?」
それは、確か、弟くん――あなたです。
任せっきりな姉で、ごめん…。
でも、光星も同じコースを申し込んでいたなんて!
「どうして?同じコースな訳?」
「………」
光星は答えない代わりに、ムスっとした顔を見せてくる。
まだ、怒ってるんだ。
あの日、私がメールでデートを中断させてしまった事を…。
「と、藤堂さんとは、そ、そ、その後、どう?」
「そういう姉さんこそ、姫野とはどう?」
「………」
「………」
終業式以来、腹の探り合い状態な私たち。
今日の夏期講習で模擬テストを受けて、結果を受け取る。
まぁまぁ、そこそこ。
このままの成績を維持していく為に、頑張るのもいいかも。
所詮、私は努力型の人間――根性一直線。
逆に光星は、天才型。
一人、自室でぼんやりとそんな事を考える。
テスト用紙を何となく、天井に向けて透かして見てみる。
間違えた所がどうしても解けなくて…。
透かした所で、答えが浮き出てくる訳じゃないけどさ。
「ふう…」
と小さく息を吐いた。




