【14】6月27日+③
窓の外は、曇り空。
今にも雨が降り出してもおかしくない。
「千星先輩って、教えるの上手いです!良かった~!これなら期末でなんとか持ち直せそうです」
「…は?」
思わず、聞き返してしまった。
薄灰色の空を見ていたせいで、姫野が言った言葉を聞き逃してしまった。
「オレ、実は中間じゃあ、笑えない点数で…」
と笑えないと言いながらも、頭を掻き照れながら笑う少年。
なのに、少し伏せたまつ毛の影が憂いを帯びて見えるから何とも不思議。
「だ、大丈夫だよ!千星ちゃんが付いてるもん!!」
ね?ね?っと五十鈴は言ってくる。
私は心此処に有らず。
だって、あまりにも綺麗な男の子が目の前に居て…、イヤ!そうじゃなくって!わ、笑えない点数だと~?――って、一体、何点よ?
「期末の目標は、全科目50点以上です!」
ご、ごご、50点~~~?!
「まぁ、そのぐらい取れれば追試も補修も免れると思うので」
「うんうん、大丈夫!!千星ちゃんに教えて貰えれば、わたしだってそのぐらいの点数取れるよ!!」
と五十鈴が言っている。私を立ててくれるのは嬉しいんだけど…。
「待って!姫野!」
「千星先輩?」
「…80」
「は?」
「この私が教えるからには、全科目80点よ!!」
* * *
その夜、携帯にメールが1件。
「ん?つかさ…、――っ!!!」
件名:勉強頑張ってる?
本文:今日の勉強会どうだったかしら?
姫野くんも勉強まで見てあげるなんて優しいのね。
明日から頑張ってね!では、おやすみなさい。
携帯を持つ手がワナワナと震えてしまう。
物凄く、後悔する。
まんまと誰かさんの計略に嵌ってしまったと…。
雨が静かに降り出した。
なのに、私の心の中は狂風が吹き荒れ、雷鳴が轟いている。
それは――まるで、サンダーストーム。
こうなったら、やってやろうじゃないの!!
絶対、あいつに全科目80点、取らせてみせるんだからっ!!!




