【13】6月27日+②
「匂坂先輩って、メチャクチャ凄いですね~!」
と感嘆の声を上げているのは、姫野。
五十鈴も、五十鈴だ!!
有り得ないでしょう!!
去年の数学のテスト問題を全て暗記しているのなんて!
「ついでに、答えも教えて下さい」
「――こ、答えは…、憶えてないの」
「え?――だって、問題憶えてるぐらいなんだから、答えも…」
「だって、答えはちゃんと自分で解いて出さなきゃダメだって、透が――」
ピクっ!ピクピクピクーーっ!!
私の右頬が引き攣るのを感じる。
(し、ししし、白澤~~~っ!!!!)
確かに、白澤の言う事は正しいけど、何?このイラつく感じはーっ!!
「姫野っ!この問題の解き方は、ここを、こうして、それから――」
「千星先輩?!」
「さすが、千星ちゃん!学年でトzツプだもんね!」
当然よ!このぐらい!
日頃から人知れず、血反吐を吐くほどの努力をしている私だもの!
五十鈴が姫野に話している。
千星ちゃんは学年で常にトップだと。そして、次に透、光星くんだと。
中学から3人はトップを争っていると。
……ただ単に、負けたくなかった。
だって、光星はもともと出来が良くて、白澤にも対抗意識があって…。
追い掛けたくて、追い付きたくて。
性格的に、勝負好きで負けず嫌いなのが、原因かもしれないけど…。




