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20.スキルとは……?

「えーと……詳細な説明は省く!」


「省くんだ?」


 てっきりカナタによるちょっとオタク語りが混じった解説講座が始まるのかと思っていたのだが、先に省くと宣言されてしまった。


「省く! じゃないとスキルの説明で一日以上時間かかるから。大雑把に、必須なとこまで。残りの細かい部分は旅に出てからでもいいと思うし。それでも結構な長さの説明になるはずだから。まずはわからないところだらけだと思うけれど聞いてくれ」


「わかった」


 これはなんだか大変なことになりそうだ、と身構える。


「まず『スキル』がなんなのか。これは与えられたそれぞれの『ジョブ』に付随する技術という解釈で大まかには問題ない。例えばギャンブラーなら『気配察知』っていうスキルが使えるようになるんだ。それで俺たちのことをよく見てる人がいるなって気付いた」


「あ、師匠に気付いたのはそういうことだったのね」


「そうそう。それと同様に、イエナの『ハウジンガー』にも固有の『スキル』がある。『ルーム』はその代表だ」


「魔法使いが魔法を習得するのと同じようなモノ、って解釈していい?」


「あぁ、それで問題ない」


 イエナの解釈は大きく間違ってはいないようだ。

 今のところなんとか話についていけていることにホッとしつつ、カナタの次の言葉を待つ。


「で、重要なのはここから。イエナの『ハウジンガー』はあらゆる『クラフター』のレシピを網羅できる。それと同時に『クラフター』の『スキル』も全て使えるんだ」


「クラフターのスキル……?」


 そう言われてもピンとこない。

 両親やマゼランは身近にいた凄腕のクラフターだ。けれど彼らがスキルというものを使っていたことがあるだろうか。いや、ない。反語。

 そんなものを使っていたのであれば、過去のイエナが食いつかないはずがない。


(あんなに将来を不安がっていた頃の私が、そんな打開策になりそうなものを聞かないわけないわよね。それはどうやってやるの? とかは両親には気軽に聞いてたけど)


「俺も今は知識があるだけで、実践していない。だから、確信があるわけじゃないんだけど……まず、イエナ、『ハウジンガー・スキル』って『ルーム』出すときみたく口にするか、念じるかしてみてくれないか?」


「わかった……わっ!?」


 念じてみると毎度お馴染みの半透明の枠が現れる。そこには製作手帳ほどではないけれど、かなりの情報が載っていた。一度不用意に製作手帳を開いたせいで耐性がついていたようだが、それでもやっぱりびっくりする。

 ざっと見渡したところ、お世話になっている『ルーム』やカナタの言っていた『ルーム拡張』なんて文字が見えた。


「見えたっぽいな。じゃあ最初の方に『クラフタースキル』ってのも見えると思うんだけど……」


「えっと、あ、あったあった」


 クラフタースキルをよく見ると、レベル1から使えるようだ。かなり初歩の初歩、ということなのかもしれない。

 ちなみに『ルーム』はレベル3からで、『ルーム拡張』はレベル25と書いてあった。もう少しで取得できるのは間違いなさそうである。


「その『クラフタースキル』ってのはクラフターであれば全員が使えるスキル。で、多分なんだけど、現在クラフターとして生きている人間であれば誰しも無意識に使っているんじゃないか、と思う。じゃないと製作物が完成しないだろうから」


「確かに。皆スキルなんて知らなくても凄い作品作ってるし」


「それに魔法使いだってスキルの存在知らなくても魔法は使ってるし、剣士ならスキル名知らなくても剣術を駆使して戦っている、はず。この世界でまだ魔法使いも剣士も会ったことないから憶測だけど」


「それは合ってると思う。じゃないと冒険譚なんて聞こえてこないもの」


 イエナも昔話やら、そうじゃなくても街の人の噂話でとても強い魔法使いや剣士の話を知っている。昔話の方は盛りすぎて実在の人物かは怪しいところもあるが。


「うん、知らなくても多分スキルは使える。でも、使いこなすんであれば、知っていた方がより効率的に使えると思うんだ」


「……もしかして、製作するのにスキルを知っていた方が有利ってこと!?」


 イエナの驚きの声に、カナタはゆっくりと頷く。


「今までイエナが培ってきた経験に、スキルの知識が上乗せされたら、それこそ『会心作』が当たり前になるんじゃないかな。ってか、そうなると思う。俺の世界だと『会心作』がデフォルトだったから」


「えええ!?」


 本日一番の驚きだ。

 両親もマゼランもたまにしか作れない『会心作』がデフォルトの世界。ちょっと常識が違いすぎて想像ができそうにない。

 ただ、じわじわと期待と興奮がイエナの身の内に広がっていった。これはもう、職人としてのサガだろう。


「というわけで、ここからはクラフターのスキル講座をしようと思う。多分耳慣れない用語が多くて苦戦するだろうから、他のスキルに関しては一旦置いておこう。さっきも言った通り、旅に出てからゆっくり解説で全然構わないってか、ある意味知らなくても問題ないわけだし」


「ま、待って待って! メモとるから! 流石に一度で覚えきれる気がしない」


 バタバタとメモを探す。どのくらいの量になるか見当もつかない。それでも、イエナはワクワクしていた。


「確かにメモ大事かもな。今までやってきたこと、やってこなかったことにスキルの名前がつく、みたいな感じだろうし。一個ずつ実際にスキルを使って確認していく方が最終的には早いかも」


「ってことは試作もするわよね。じゃあ~……」


 手持ちの材料で簡単に作れそうなものをピックアップする。

 その日の確認作業は、かなり長く続いた。けれど、そのお陰でイエナのレベルは24に上がったのだった。


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