【コミカライズ7話番外編】体重測るべし
ゼニス「コミカライズ七話が更新されたよ! 今回の見どころは美麗なローマ建築物の背景と、魔力についていろいろと調べるお話です。中庭と冒頭のシーンはとってもローマでした!」
ティト「魔力についていろいろと。本当にいろいろでしたね」
ゼニス「えぇ? なに、その言い方?」
ティト「いえ別に。早速見てみましょう」
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ゼニス「何から喋ろうかな。そうだ、体重計の話にしよう。今回、私が体重を測っていたのは『竿秤』という秤。竿秤はローマ時代の発明品で、それまでの両天秤に比べると格段に使い勝手が良くなった品物なんだ」
ティト「両天秤というと、正義の女神が持っているあれですか?」
ゼニス「そうそう。エジプトの壁画なんかにもある、片方の皿に測りたいものを、もう片方の皿に重りを載せて釣り合いを見るやつね。
一方で竿秤は一方の皿に測りたいものを載せて、もう片方は左右にスライドできる重りを吊り下げる。テコの原理を利用して一つの重りでいくつもの重さを測れるわけ。スライドできる場所には目盛りがついていて、重りの位置で重さがすぐ分かるようになっているの」
ティト「なるほど。両天秤だと毎回測りたい重りを用意しないといけないけど、竿秤だと一つの重りで対応できるのですね」
ゼニス「そう。竿秤の登場で簡単にいろんな重さを測れるようになって、しかも持ち運びも簡単だから、商人とかに重宝されたよ。私が体重測定に使ったのは、小麦粉の大袋を測る大きな竿秤。ローマじゃ体重を測る習慣がないから、ちょっと頼んで借りてきた」
ティト「便利なものです」
ゼニス「竿秤は上皿天秤が発明された十七世紀まで第一線級の秤だった。その後は徐々に出番が減ったけど、庶民は竿秤を愛用していた人も多かったみたい。聞くところによると、作者の親戚(団塊世代)が小さい頃、富山の薬売りみたいな人が竿秤を持って行商に来たのを覚えているんだってさ。まさかの二十世紀まで現役、竿秤」
ティト「ローマ時代の発明品が二千年も愛用されるなんて、誇らしい話です」
***
ゼニス「というわけで、体重を測りながら実験を続けていたわけで」
ティト「実験。実験で良かったですよ。お嬢様のイカレポンチ病がまた再発したのではないかと、気が気じゃなかったです」
ゼニス「ドウモ、スミマセン……」
ティト「ラス王子があの変なポーズを真似したいと言い出したときは、はらはらしました」
ゼニス「ヨハネさんの圧がすごかったよね。『うちの王子に変なことやらせるなよ!?』って」
ティト「当たり前ですよ。前のラジオ体操でしたっけ? あれだって十分変なのに、健康にいいからと目をつむってくれたんですから」
ゼニス「ハイ、ドウモ、スミマセン……。でもね、でもね、筋トレとしてすごく効果的なんだよ!? 運動がんばるウィークのときは筋肉痛で毎日死にそうになってたもの!」
ティト「腕や足がムキムキになっていましたね」
ゼニス「あのまま続けたら女筋肉ビルダーになれたかな」
ティト「なんだかよく分かりませんが、やめてください」
***
ティト「で、最後のページはなんなんですか」
ゼニス「ふふふ。そりゃあ次回のお楽しみってやつよ」
ティト「どうせろくでもないことですね?」
ゼニス「ち、違うよ! 魔力の観察に絶対に必要かつ斬新な実験だから! ティベリウスさんも言ってたでしょ、新しい物事を切り開くには反発も受けるって」
ティト「別に反発はしていませんよ。ただ、イカレポンチが治って心からほっとしていたのに、あぁ結局こうなるのかと諦めの心境になっただけです」
ゼニス「くっ……! 珍獣扱い再び!」
ティト「自覚がおありのようで、よかったです」
***
ゼニス「そんなわけでいっぱい実験する回でした。三週間もかかっちゃったけど、しっかり記録が取れて良かったよ」
ティト「次回が大変不安なのですが」
ゼニス「まあ、そこは本当にお楽しみでね。今回から続くクライマックスだよ。乞うご期待!」
ティト「あたしは内容を知っていますけど、あのシーンが漫画の絵で表現されるのはなんというか、なかなか……」
ゼニス「まあね!? そこは漫画家さんが迫力込めて描いてくれたから。本当は人に見せるものじゃないけど、漫画の形なら仕方ないよね~あははは」
ティト「一応、あの場に読者様以外はあたししかいませんからね」
ゼニス「読者様が見てるみたいな言い方やめてくれない? さすがに恥ずかしくなってきた」
ティト「気にしたら負けですよ。お嬢様」
ゼニス「うん、まあ、気にしないでおく。羞恥心に負けているようじゃ小説や漫画の主人公はできないから」
ティト「というわけで、次回もいろいろある回です。どうぞお楽しみに」
ゼニス「お楽しみに!」
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