制作小話裏話
今回は本作の制作裏話になります。本当は活動報告などで書けば良かったのでしょうが、コミカライズのお知らせを押し流すのがもったいなくてこちらになりました。キャラ同士の会話文というアレなノリですが大丈夫な方は読んでくださると嬉しいです。
ゼニス「というわけで、『転生大魔女の異世界暮らし』制作裏話だよ」
グレン「ゼニスと私たちの物語だね」※ゼニスの夫で魔族。次期魔王。
ゼニス「グレンの出番は後半だけだけどね。あとあなた、割と全方位から評判悪いから」
グレン「え……」
ゼニス「読者さんの声で、幼稚とかワガママ勝手とか散々なのが多かったよ」
グレン「え…………」
ゼニス「実際そうじゃない? 最後の最後でマシになったけど、それまではまぁ……」
グレン「ま、有象無象はどうでもいいよ。ゼニスが私を認めてくれた。それは絶対に変わらないのだから」(開き直った)
ゼニス「あぁ、うん。まあ、私も自分の男性の好みがこんなヘンテコリンだったとは、アラフィフになるまで気づかなかったから。だからまあいいというか、なんというか」
グレン「さて、本題に入ろうか。この小説は下敷きにして書いた作品がある」
ゼニス「いきなりメタってきたわ。とにかく、下敷きにしていたのは作者が2022年にムーンライトノベルズに投稿していた小説。主人公は私で相方がグレンなのは変わらないけど、第三部部分だけを書いていたの」
グレン「境界の遺跡で私と出会う辺りからだね」
ゼニス「そうそう。古代ローマ世界でのあれこれは、ダイジェスト的にさらっと書いていただけだった。下敷き小説は2022年秋に完結して、作者はとりあえず満足していたけれど、古代ローマ部分をもっと書きたくなったみたい。2022年12月になって小説家になろうに改めてこの小説を投稿した、と」
グレン「ムーンライトノベルズは小説家になろうの姉妹サイトで、大人の女性の小説が集められているよ」
ゼニス「ぶっちゃけR18小説ね。なんでいきなりあっちに行ったのか、私も作者の頭の中は分かんない」
グレン「あちらはあちらで楽しかったのに。制限がないから好き放題で」
ゼニス「……私はあっちのは忘れたいわ。とりあえず今はもう消してあるから、誰も読めない。やったね」
グレン「残念……」
ゼニス「そんなわけで、第三部の私がたまにちょっと印象が違う感じがするのは、下敷き小説を流用していたせいなの。第二部までで経験を積んだ私は色々悩んだり、それなりに成長があったのに、第三部の私はグレンにやたらと怒ったりツンツンしすぎたり、ちょっと子供っぽいかなと思う」
グレン「下敷き小説と第三部連載時期は、8ヶ月くらい離れていたからね。文章自体も少し違うんじゃないかな」
ゼニス「そうそう、そんな感じ」
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ゼニス「そんなわけで始まった古代ローマ風小説だったけど、作者は第二部の狼対決や竜退治は事前に考えていたくせに、第一部の氷の商売の話は殆どその場の勢いで考えたんだってさ」
ティト「ひどい話ですね」※ゼニスの長年の侍女。
マルクス「俺の活躍するとこ、その場のノリだったのかよ」※ティトの夫で優れた商人。
ゼニス「特に第一部のキーアイテムになる白魔粘土の扱いに悩んでいて、あれをマジカル万能アイテムにするか、それともそういうのはなしでもっと現実的な手段で話を進めるか、当時の日記にめちゃ悩んだと書いてある」
ティト「お嬢様、他人の日記を勝手に見るのは良くないですよ」
マルクス「結局魔法を重視したんだな。そうならなかったら、どんな話になっていたやら」
ゼニス「あのときは断熱材を探していたから、羊毛やコルクなんかで工夫して、ものづくり色が強くなったかもしれないね」
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ゼニス「魔法学院教師編は、正直、WEB版ではかなり中途半端になっちゃってる。シリウスのせいだよ!」
シリウス「なんで僕が」※魔法学院の研究者でコミュ障野郎
ゼニス「シリウスがせっかくの授業に乱入してきたから、お説教モードで時間を取られて、それ以外がうやむやになったの!」
シリウス「世話になった自覚はあるが、それ以外は知るか。ゼニスなり作者なりの力量不足だろうが」
ゼニス「コミュ障なくせにときどき本質を言うからむかつく。まあそこらは作者が書籍化の際に考え直して、授業風景をかなり増やしているよ。古代ローマ風の医学の紹介のほか、魔力回路理論の説明とかいろいろ。書籍2巻の加筆です」
シリウス「お前の魔力回路理論は確かにすごいよ。あれのおかげで全ての魔法使いの魔力量が桁違いに上がったからな」
ゼニス「ふふふ、そうでしょう。あの辺りから魔力とは何か? という説明を始めて、だんだんと魔法と魔力の謎の解明を進めていく予定だった」
シリウス「僕の祖先の遺物から記述式呪文を発見して、研究していく過程がそうだな」
ゼニス「そうそう。あれはぶっちゃけプログラミング言語イメージなんだけど、作者のプログラム知識が低いせいでなんか半端なことになった。もっとぼかして書いてもよかったと後悔していたよ」
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ゼニス「第二部のお話、北西山脈で狼と対決するシーン、魔界から降ってきた竜を殺すシーンは割と構想ができていたみたいだよ」
ドルシス「俺の役割も明確だしな」※オクタヴィー(ゼニスの魔法の師)の双子の弟。軍人
アレク「狼の話がなんでこのタイミングかって言うと、俺とラスが10歳になるからなんだよなー」※ゼニスの弟
ラス「それまでの僕たちは小さすぎて、冒険はできませんでしたから」※異国の王子、アレクと同年
ゼニス「ドルシスさんは数少ない大人の男性キャラなので、作者は描写に苦労していたよ」
ドルシス「そうか?」
ゼニス「ちなみにドルシスさんのお兄さんのティベリウスさんも、描写に苦労していたよ。美少女と美女は得意だけどイケメンは苦手なんだってさ」
ドルシス「ふーん? ま、作者の存在は認めるが俺は俺だ。あるがままに振る舞うだけだよ」
ゼニス「そう言ってもらえると助かる。で、第二部の主題は魔法の力を生かして敵を撃退する話なんだけど、なまじ成功してしまったために私が悩むことになる。大きな名声と実際の平凡な自分やら、転生者としての出自を明かせないジレンマやら。そのへんを持ち越して第三部に行く……という形だった」
ラス「ゼニスは素晴らしい人だと、僕は今も昔もこの先も、変わらず思っていますよ」
ゼニス「うん……ありがとう。でもやっぱり、私にとっては簡単に割り切れる問題ではなかったんだ」
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ゼニス「……というような経緯があって、私の物語は完結までやってきました。読んでくれて、応援してくれた読者様のおかげで書籍化もできました。さらにコミカライズがスタートしましたので、そちらをどうぞよろしくお願いいたします」
ゼニス「書籍で書きたいまだまだお話があったはずなのに、ちょっと残念。少しだけ紹介すると、書籍2巻で着手した農園経営を発展させて、スイカで熱中症予防を普及させたり、パピルスを改良してより使いやすい紙を作ったり、サトウキビから砂糖を作ったり。アロエやその他の薬草を育てて美容系のお話になるかもしれなかったね」
ゼニス「それから、元老院での政治闘争。この小説では明確な敵が存在しないので、政敵を登場させて違う盛り上げを工夫するとか、そういうことを作者はやってみたかったみたい。表舞台の闘争はティベリウスさんの戦場だけど、私やオクタヴィー師匠は魔法と文化――前述のいろんなものづくりで財産を増やしたり影響力を増したりして、戦っていく筋書きだった。まあ、力量の問題でどこまでやれたかは知らないけれど。万が一にも書籍でもう一度書く機会があったら、是非挑戦したいと思っているみたい」
ゼニス「古代ローマものづくり&町作りに関しては、作者の別作品で書いているので、よければ読んでやってね。――それじゃあ、だいぶメタってきたのでこの辺りで終わろう。いつも読んでくれてありがとう! また会おうね!」
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ところで2024年5月から古代ローマ風世界観で新作を書いていました。
頑張る女主人公の知恵と努力と根性の物語です。
先日完結しましたので、よろしければどうぞ。
https://book1.adouzi.eu.org/n7576ja/
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