第九十一話 結婚式
ここは、殿下の寝室のドアの前。
わたしは殿下に招待を受けていた。
いよいよドアをノックしようとする。
しかし、緊張してなかなかノックができない。
今までも殿下の寝室自体には来ていた。
それも毎日。
いつも、殿下を抱きしめ合い、唇を重ね合ってきていたのだけど……。
今日は今までとは違う。
わたしたちが出会ってから約十一か月。
十月上旬のある日。
秋のきれいな青空。
そして、心地良い風が吹き、穏やかな陽ざしが降りそそぐ。
殿下とわたしは今日、結婚式を正式に行った。
これで、わたしは殿下の正式な配偶者になった。
殿下とわたしの結婚に反対をしていた国王陛下も王妃殿下も、この結婚を祝福してくれた。
「あなたたちはもっと愛を育んでいく必要がある。これから国王そして王妃になっていくのだが、お互いをもっともっと大切に思い、愛していきなさい」
と国王陛下が言うと、
「まだまだあなたたちの愛は足りないと思います。お互いを尊重し、尽くしあうことが大切だと思っています。今のままでは結婚生活を続けていっても、いずれ愛が壊れるかもしれません。それでは結婚する意味がなくなってしまいます。もっとお互いを愛していきなさい」
と王妃殿下も言った。
ありがたい言葉だ。
二人の言う通り、殿下のことを今まで以上に愛していかなくてはいけないと思う。
結婚式は盛大に行われた。
あこがれていた、純白のウエディングドレスのわたし。
王室の方々や貴族たち、そして国民の代表が出席していて、出席者全員が祝福してくれた。
その中には、わたしたちの結婚を応援し続けていたラディアーヌ様とわたしを支え続けてくれた侍女のリデーヌさんもいた。
二人とも涙を流して、
「お二人ともおめでとう!」
「おめでとうございます!」
と頭を下げながら言ってくれた。
わたしも涙を流しながら、
「ありがとうございます」
と頭を下げながら応える。
これほどうれしいことはない。
二人とはこれからもずっと仲良くしていきたい。
そうわたしは思うのだった。
またもう一つうれしいことがあった。
リランテーヌ子爵家の新当主になった異母弟も出席してくれていたのだ。
殿下が結婚式に招待をしてくれた。
既にリランテーヌ子爵家から継母と異母姉は追放されていた。
招待状がきたのは、新当主が当主の座につき、しばらく経った後のことだった。
リランテーヌ子爵家の人々は、わたしが殿下と婚約し、結婚することになったことにとても驚いたそうだ。
わたしは子爵家から追放されていたが、この話がきてすぐに、子爵家の身分は回復された。
新当主から、わたしに詫びの手紙も送られてきた。
「今までの仕打ちに心からお詫びしたいです」
と書いてきていた。
子爵家でわたしの世話をしてくれた侍女についても書いてきていた。
そのまま子爵家の侍女として元気で働いているとのことだった。
心配していたので、安心した。
しかし、出席については、
「そのような仕打ちをしてしまったのに、結婚式に出席するのはおそれおおいことでございます。申し訳ありませんが、出席はご遠慮させてくださりますようお願いいたします」
と書いてきていた。
新当主の心のやさしさが伝わってくる。
それに対してわたしは、
「気になさることはありません。もうリランテーヌ子爵家は、あなたのもと生まれ変わろうとしているのです。出席していただけることを心から待ち望んでいます」
と手紙で返信した。
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