第九話 継母対異母姉
異母妹は、わたしに対しても、十歳を過ぎた頃から、嫌味を言うことが多くなり、今では姉を姉と思わない態度を取っている。
母親の強い影響だろう。
いや、内と外の態度の違いは、母親以上のものがあると思う。
既に婚約の打診が来始めているようだけど、こんな調子で大丈夫なのだろうか、と思う。
最初は良くても、彼女のわがままさについていけなくなるのでは、と心配になってしまう。
「ルアンソワ様もお父様も、フローラリンデじゃなくて、わたしを最初から選んでいれば、こんなことにはならなかったのに」
異母姉は悔しそうに言う。
すると、
「よく言うわ。あなたのようなプライドが高いだけの女性が、婚約できるわけがないじゃない」
と言って継母が矛先を向ける。
「お継母様、何をおっしゃるのですか? わたしはこの王国一の美しい女性です。お父様もおっしゃっておられました。お継母様だって聞いておられたでしょう? それをただプライドの高いだけの女性とおっしゃるのは納得できません」
しだいに怒り出していく異母姉。
「あなたが美人であるのは認めてあげてもいいわ。でもわたしに比べたら、全くたいしたことはない。雲泥の差と言うところね」
異母姉をあざけり笑う継母。
「だいたい、あなた、婚約の話自体がほとんどこないじゃないの。それだけ魅力がないってことよ」
「魅力がないですって? こんな魅力いっぱいの女性だと言うのに」
「じゃあ、なんで婚約の話がこないのかしら?」
「それは、わたしに魅力がありすぎるからです」
「よく言いますね」
「お継母様よりは、よっぽど魅力があると思っています。お継母様は、美人かもしれませんが、わたしの美しさとは比べ物になりませんわ。それに、毎日のようにわたしに小言を言う性格の悪さ。これでわたしより魅力があると言うならば、笑うしかないですわ」
と今度は異母姉が継母をあざけり笑う。
どちらが美人かはともかく、異母姉が継母の性格の悪さを指摘するのには、苦笑いをせざるをえない。
「なんですって!」
心が沸騰してくる継母。
「あなた、母に対してなんて言うことをいうの」
「母と言っても継母でしょう?」
「母は母じゃない。子供が親に対して言う言葉ではないわ」
「あなたがここにきてから、一度たりとも母親らしいことをしたことはないじゃない」
「何を言っているの。わたしはあなたたちを育てるのに十分心を砕いたつもりよ」
「ふざけたことを言っているわね。あなたが常に思っているのは、異母妹と異母弟のことだけでしょう。わたしのことなんかいつもじゃまもの扱いしてたくせに」
ここは異母姉と同じ意見だ。
ただ、異母姉は、いつも「わたし」といい「わたしたち」とはいわない。
わたしのことはどうでもいいのだろう。
いや、どうでもいいどころか、じゃまな存在だと思っている。
「そこまで言うなら、いつも言っているように、あなたの母がいる子爵家に戻ればいいじゃない。そうすれば。わたしと話さなくていいでしょう?」
「あなたはいつもそう言う。わたしはお父様の長女。わたしが異母弟の後見役になってもいいくらいの立場にいる。それなのに、なぜわたしがここを去らなくてはならないの」
「これからも、ここで生活したいのなら、すべてわたしに従いなさい」
「嫌です。だれがあなたなんかに従うものですか! 絶対に嫌です」
こういうところは、異母姉がうらやましいと思う。
「面白い」
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