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第八十四話 相思相愛の二人

殿下は少し泣いた後、


「こんな話をして申し訳ありません。いきなり前世や来世という言葉を使って驚いたのではないかと思います。でもわたしは、前世のことを思い出し、あなたと結婚するということを約束したことを思い出したんです。このことをあなたにお伝えしたかったんです」


と恥ずかしそうに言った。


殿下も前世のことを思い出していただいている。


わたしは、心が熱くなってきた。


「わたしも前世のことを思い出しました。今まで思い出せなくて申し訳ありません。殿下の言葉は、もう二度と忘れません」


「そう言っていただけるとありがたいです。こうして前世の言葉を二人一緒に思い出すことができたのは、とても素敵なことだと思います」


微笑む殿下。


ただ前世で結婚の約束はしていても、今はどうなのだろう。


今は違うとおっしゃるかもしれない。


泣いておられたので、そういうことはないと思いたいのだけれど……。


そういうことを思いたくはないのに、思ってしまう。


しかし……。


「わたしはあなたのことが好きです」


殿下は恥ずかしそうに言った。


わたしはその瞬間、心が一気に沸騰した。


「前世の時でもそうでしたが、あなたと初めて会った時から一目惚れをしていました。こんなに美しくて、素敵な女性はいないと思いました。その後、仕事を一緒にしていて、その働きぶりにますます心が傾いていきました。恋しくて、恋しくて、心が沸き立ちました。でも、もともと女性が苦手だったわたしには、あなたに想いを伝える勇気はありませんでした。あなたがわたしのことを好きではなかったらどうしょう。と思っていたのです」


殿下はそう言った後、


「わたしはあなたを恋人にしたいと思っています。そして、前世の約束通り結婚したいと思います。好きです。お願いします」


と言って頭を下げた。


わたしは、


「わたしのようなものに、頭を下げさせてしまいまして、申し訳ありません。頭をお上げください」


と言った後、


「わたしも殿下のことが好きです。わたしのようなものでよろしければ、恋人にしてください。そして、結婚させてください」


と言った。


これでやっと殿下に想いを伝えることができた。


わたしは涙を流し始める。


「ありがとう、フローラリンデさん。うれしいです」


「こちらこそありがとうございます。わたしもうれしいです。殿下」


わたしはそう言うと、立ち上がる。


「フローラリンデさん、わたしはあなたが好きです」


「殿下、わたしも殿下が好きです」


「わたしにはあなたしかいないです」


「わたしにも殿下しかいません」


「わたしはこれから一生あなただけを愛していこうと思います」


「わたしも殿下だけを一生愛していきます」


殿下は、わたしを抱きしめる。


殿下のやさしい気持ちが流れ込んできた。


「フローラリンデさん、わたしはあなたと幸せになっていきたいと思います」


「わたしも殿下と一緒に幸せになっていきますと思います」


そして、唇と唇が重なり合う。


殿下とこれからも抱きしめ合っていきたい。


そして、殿下と唇を重ね合いたい。


殿下と幸せになりたい。


わたしは強くそう思うのだった。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


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