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第六十四話 お茶会のお誘い

今週最後の殿下との会議が終わった。


「今週もありがとうございました。来週もよろしくお願いします。お体を充分休めてください」


とやさしく言う殿下。


「お気づかいありがとうございます。殿下もお体には気をつけてください。寒さが厳しくなってきていますので」


わたしがそう言うと、


「お気づかい、ありがとうございます」


と言って殿下は微笑んだ。


この後、わたしに対するお誘いを、少しだけ期待したのだけど……。


何もなかった。


今週もお誘いはなかった。


まあしょうがない。


でも来週こそは、お誘いされたいなあ……。


殿下にあいさつし、執務室を出た後、そう思いながら廊下を歩いていた。


すると、


「フローラリンデさん、こんにちは」


と笑顔で声をかけてくる人がいる。


殿下の妹様であるラディアーヌ様だ。


「こんにちは」


わたしが頭を下げながらそう応えると、


「明日、お茶をしませんか? ささやかながら、二人でお茶会をしたいと思っています。ご都合はいかがでしょうか」


と微笑みながら言ってくる。


二人でお茶会。


わくわくしてくる言葉だ。


「もったいないお言葉。喜んでお受けさせていただきます」


わたしがそう言うと、


「うれしいですわ。では、明日。わたしの部屋にお越しください。お昼前にわたしの侍女が、あなたの部屋に伺い、ご案内いたします」


とラディアーヌ様は言った。


ラディアーヌ様は、わたしが初めてここにきた時に、ドレスを貸していただいた女性。


初めて会った時から気の合いそうな気がしていた。


お茶をして、いろいろおしゃべりをしたいと思っていた。


ただ、ラディアーヌ様とわたしは身分が違う。


殿下に対してもそうなのだけど、こちらから誘うことは困難だ。


会うことも、向こうからそうしたいと思わなければ難しいところ。


したがって。ドレスの御礼をした後は、しばらくの間は会えないかもしれないと思っていた。


しかし、二週間ほど前、わたしの仕事が終わった後、王女としての仕事が終わったラディアーヌ様と廊下で会った。


ラディアーヌ様は今日のように、笑顔であいさつした後、


「この後、ちょっとお茶を飲みながらおしゃべりしたいと思うんですけど」


と言ってくれた。


「わたしでよろしければ」


わたしはもちろん了承した。


うれしかった。


おしゃべりは、短い時間ではあったけど、楽しかった。


これがきっかけで、仕事の終わった後、短い時間ではあるけれど、お茶を飲みながら、おしゃべりをする間柄になっていった。


そして、今日、明日のお茶に誘っていただいた。


しかも、お茶会と言っていただいている。


ということは、いつものようにちょっとお茶を飲むのではなく、結構長い時間お茶を楽しむことになるのだと思う。


おしゃべりもたくさんできそうだ。


ラディアーヌ様もそう思っていただいているとうれいしいなあ……。


「では今日は、これからまた用事がありますので、失礼します。本当は今日もお話ししたかったので、残念ですけど。では明日、お待ちしております」


「つつしんで伺わせていただきます」


そして、別れのあいさつをすると、ラディアーヌ様はここを去って行った。


殿下とお茶会をするのは、まだまだ先になりそうで、残念。


しかし、明日はラディアーヌ様とお茶会をすることになった。


うれしくて、心がウキウキしてくる。


わたしは楽しいお茶会にしたいと思った。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


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