表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/94

第六十三話 殿下と一緒にいたい

わたしが王宮にきてから、ほぼ一か月が経った。


殿下だけではなく、王室の方々や大臣たちとも接し始めていたが、予想通り、ほとんどの人の反応は冷たいものだった。


国王陛下と王妃殿下でさえも、わたしが殿下にお仕えするのを認めていただいたとはいうものの、決して歓迎しているわけではないのだから、冷たい反応になるのも当然だとは思う。


とにかく誠実な対応をし、少しずつでもいいので、心が通わせるようになっていきたいと思っていた。


その中で、殿下は、わたしにやさしく接してくださっていて、涙が出るほどうれしく思っている。


殿下が正式に権限のほとんどを移譲された後、殿下はより一層忙しくなった。


その為、執務室でわたしと向き合うのは、午後の二時間ほどに限定されるようになった。


その他の時間は、別に部屋を与えられたので、王国内の問題点に対する対策案の検討は、そこでわたし一人で行うことになった。


そこで検討した対策案を殿下のところへ持っていき、殿下と一緒に討議をしてまとめていくのと、そこでまた新しい問題点を殿下から提示されるという形だ。


その前の殿下との集中検討で、対策案の多くは形になっていたが、それを細かい内容まで詰めていかなくてはならないし、新しい問題点が提示されたら、それにも対応していかなくてはいけない。


わたしは毎日忙しくなったが、それでも、


「決まった時間で、仕事は切り上げるようにしたいと思っています」


といつも殿下は言っている。


わたしの体をいつも第一に思ってくださるのでありがたい。


そして、


「あなたのおかげで、対策案がどんどんまとまってきています。ありがとうございます」


と御礼の言葉も言っていただいた。


昨日のことだ。


殿下がわたしのことを、少しではあるかもしれないが、評価していただいているのだと思う。


わたしは、うれしさで胸が一杯になった。


しかし……。


もっと、殿下と一緒にいたい。


毎日二時間ほどでは全く足りない。


そして、仕事で一緒というだけではなくて、抱きしめてほしい気持ちがどんどん強くなってくる。


最近、仕事中でも、殿下に抱きしめられて、うっとりするという夢想をして、


「どうしたのでしょうか? 具合が良くなさそうです。少し休まれた方がいいと思います」


と殿下に心配されてしまったことがある。


その時のわたしは、


「大丈夫です。心配していただいて、ありがとうございます」


と恥ずかしい気持ちになりながら言った。


その後、仕事中は夢想をしないように気をつけている。


とはいうものの、これだけ素敵な人なのだ。


気持ちを抑えるのは難しい。


殿下は、わたしとこんなに近い距離にいるのに、心がわたしに傾いていかないのだろうか?


わたしに恋をしていただけないのだろうか?


今のところは、時々昼ご飯を一緒に食べるぐらい。


プライベートのお誘いは受けていない。


晩ご飯もご一緒したい気持ちになるが、殿下はほとんどの場合、国王殿下と王妃殿下とご一緒だ。


いわゆる晩餐。


わたしが望んでいるのは、正式な晩餐ではなく、二人だけの夜の食事。


そこで、いい雰囲気になって……。


というところまでいれるといいなあ、と思うが、さすがにそれは高すぎる望みだと思う。


いい雰囲気までいかなくても、楽しい食事はしたいなあ……。


しかし、昼とは違い、夜、二人だけの食事をするということは、それだけでも難しい望みなので、なるべく思わないようにしている。


でも、その内、たまにいいので二人だけで夜食事をしたいなあ、という気持ちはどうしてもある。


夜の食事は難しい話なので、その他のプライベートなお誘いをしていただけたらいいなあ、と思っている。


もう冬になり、雪も積もってきているので、休日、郊外にピクニックに行くなどのお出かけはできないが、部屋で二人きりのお茶会はできると思う。


でもそのお誘いはまだない。


わたしの方はいつでもお待ちしているのに……。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


と思っていただきましたら、


下にあります☆☆☆☆☆から、作品への応援をお願いいたします。


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に思っていただいた気持ちで、もちろん大丈夫です。


ブックマークもいただけるとうれしいです。


よろしくお願いいたします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ