表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/94

第十五話 異母弟のやさしさ

しかし、異母姉は、今では継母と一緒になってわたしを攻撃する。


異母姉にとってわたしは、この侯爵家の実権を握ろうとする時、じゃまになるライバルの一人でしかないのだろう。


わたしを追放し、ゆくゆくは継母や異母妹もこの家から追放する。


これが異母姉の思っていることだろう。


「わたしも、お母様の決定を支持します。こんなどうしょうもない姉なんて、今すぐにでも追放されてほしかったですけど、しょうがないですよね」


この異母妹、母親以上に言うことが厳しい。


わたしの方は、幼い頃から彼女をかわいがっていたつもりだったのに、その気持ちは通じなかった。


いや、思春期になるまでは、わたしにもなついてくれたような気がしていたのだけど……。


わたしの思い過ごしだったのかもしれない。


いずれにしても、ここにいる異母妹は、その母親以上にわたしに対して冷たい。


「当主もわたしに対して異議はないですよね」


厳しい調子で言う継母。


彼女は、異母妹に対しては甘い母親だが、異母弟については、将来この侯爵家を背負って立つということで、ずっと厳しい態度を取り続けている。


母親のいうことには全部従わざるをえない状態だ。


しかし、その為、心が萎縮されてきているように思う。


異母弟は、もともとは、心やさしくて思いやりもある子だ。


それを生かすことができれば、名君になる素質はあると思うのだけど。


このままでは、その内、心が病んでしまう可能性もありそうな気がする。


かわいそうな気持ちになってくる。


しばらくの間、異母弟は黙っていたが、


「わ、わたしは、姉上がかわいそうな気がします」


と小さい声で言った。


わたしは少し救われた気持ちになった。


しかし……。


「何がかわいそうなものですか!」


継母は大きな声で怒った。


「姉上は長年この家にいました」


異母弟は継母に怒られたのにも関わらず続ける。


「それがどうしたというのです」


「長年この家にいたにも関わらず。追放されてしまうのです。かわいそうだと思って何がいけないのでしょう」


「この子は婚約破棄されるという、当家にとって、とても名誉を傷つけることをしたのです。かわいそうだとなぜ思うのです」


そう言う継母に異母姉は、


「お継母様」


と呼びかける。


「何?」


「異母弟、いや、閣下はそれだけ慈愛に満ちたお方なのです。そのことを褒めてあげた方がよろしいのではないかと思いますが?」


気持ち悪いくらい柔らかい声で言う異母姉。


異母姉は昔から異母弟にだけは甘い。


ただそれも、純粋にかわいいというだけではなく、将来自分が後見役になった時のことを思って対応しているようだ。


「それもそうね」


継母はそう言った後、


「あなたのやさしさは理解した。それはいいと思っている。だけど、それとこれとは話は別だわ」


と異母弟に言った。


「かわいそうというのはいいとして、わたしの決定したことに反対はしないわよね?」


柔らかく言おうとはしているようだが、結局は自分の決めたことを押し付けようとしている。


異母弟は、少しの時間黙っていた。これは彼なりの抵抗なのだろう。


しかし、


「お母様の言う通りに従います」


と結局は言わざるをえなかった。


仕方のないことだと思う。継母に反対することはできない。


でも異母弟は、可能な限り継母に抵抗してくれた。


それだけでもうれしい気持ちになる。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


と思っていただきましたら、


下にあります☆☆☆☆☆から、作品への応援をお願いいたします。


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に思っていただいた気持ちで、もちろん大丈夫です。


ブックマークもいただけるとうれしいです。


よろしくお願いいたします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ