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第十四話 家から追放されるわたし

外では冷たく激しい雨が降っている。


当主である異母弟は。何かいいたそうだったが、日頃から継母に抑えつけられているせいか、言うのを我慢しているようだ。


「みな異議がないようなので、わたしの決定を伝える」


継母は一回言葉を切った後、


「我が子爵家の名誉を著しく傷つけたフローラリンデは、この家から追放するものとする!」


と厳しい表情でそう言った。


「わたしを追放するのですか?」


「そうよ」


予想はしていたとはいうものの、追放という言葉は、とても重いものだ。


「明日の朝、この屋敷から出て行ってもらう。本当は今すぐにでも追放したいところ。でも少し時間をあげるわ。その間に準備ができるでしょう。ありがたいと思いなさい。後、あなたがこれからいくら謝ってきたとしてもそれを受け入れることはできない」


いくらなんでも時間がなさすぎる。


それに、わたしには行くところがない。


いや、あるにはあるけれど……。


「せめて男爵家まで送り届けていただきたいと思います。お願いします」


そこに行ったとしても、中に入れてくれない可能性は高い。


でも今行けるのはそこしかない。


そう思い、わたしはそう申し出た。


しかし……。


「無理ね」


継母はにべもない。


「昨日、あなたの母の実家の男爵家に使者を出した。婚約破棄されるほどのどうしょうもない子なので、そちらに返しますと言ったの。でも断られた。子爵家が追放するほどの子を我々が受け入れる義理はありません、という返事が返ってきてね。ということは、あなたの実家にも見捨てられたということ。まあ、これだけどうしょうもない子だから、そういう返事もくるだろうけど、行くところがなくなったのね。かわいそうな子だわ」


継母は、厳しい表情を一変し、笑い出した。


怒りがどんどん増してくるが、怒るわけにもいかない。


「とにかくもう追放されることは決まったの。この家を出たら、どこにでも行くがいい!」


継母は再び厳しい表情になり、そう言った。


わたしはこうして、この家から追放されることになってしまった。


今の継母の命令は絶対だ。


ここで反論しても、聞き入られる可能性はゼロに等しい。


わたしに味方してくれる人もいない。


もしかすると当主で異母弟が反対の気持ちを持っているかもしれないが。母親の決定を覆すことはできないだろう。


「よかったわね。これであなたは自由じゃない。あなたは、お継母様にとっても、わたしにとっても、じゃまな存在でしかない。あなたがいなくなると思うと、うれしくてしょうがないわ」


あざ笑う異母姉。心から喜んでいるようだ。


それにしても、異母姉はなぜここまでわたしを憎むのだろう。


自分の母親が離婚された後に、妻になったのがわたしの母親だったので、それが悔しくてしようがないようだ。


しかし、それでここまで憎めるものだろうか。


わたしの母親は、異母姉のことを大切にしていたと聞いているのに、異母姉はわたしの母親にもいい思いは持っていないと、わたしに直接言ってきている。


自分も継母にイジメられていてつらい思いをしていたのだから、わたしのつらい気持ちもわかるはずだと思う。


母親が違うといっても妹を大切にしようと普通は思うはずだと思うのだけど……。


「面白い」


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